タイプ3 気分屋激ギレタイプ

 バイト後に親しい先輩と飲みに行く約束をしていたフワちゃんですが、フワちゃんがハンディ(注文を受けるための携帯型端末)を所定の場所に戻していなかったことを注意され、フワちゃんが激怒。「マジでその日にキレるポイントが違うから、怒られるか怒られないかは運」とし、対処法として「先輩が見ていないときに、アッカンベーをする」「心の中で山手線ゲームをする」ことを挙げていました。

 フワちゃんは先輩が気分屋で、機嫌が悪かったので理不尽にキレられたと思っているようですが、ハンディが所定の場所になければ、店員さんもお客さんも困ることは想像に難くない。フワちゃんは怒られることにものすごい恐怖心があるのかもしれません。「怒ってくる人は敵」とムキーっとなる一方で、自分が同じことをされたらどう思うのか、相手の立場に立って考えることは苦手な印象を受けました。

 フワちゃんが飛び込んだプロレスの世界は、上下関係が厳しいと聞いたことがあります。新しい世界に飛び込めば、先輩に注意されることは当たり前。上述したとおり、自分がヤラかして原因を作っているにも関わらず、「相手が悪い」と考えがちなフワちゃんが、先輩からの指摘を素直に聞けるのでしょうか。

 これはフワちゃんのせいではありませんが、興業というものはどうしても知名度を重要視する傾向があります。知名度があるという理由で、真面目にコツコツやってきた人よりも、いきなりやってきたフワちゃんが大きな舞台に立ってしまうことを面白くないと思う選手やファンがいる可能性は否定できません。認めてもらうまでには、地道な努力を積み重ねる必要があるかもしれません。

 また、フワちゃんと言えば、タメ口以上に遅刻癖があることでも有名で、2023年5月8日放送の『フワちゃんのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)によると、生放送の時は自腹でロケバスをチャーターして、遅刻しないように備えていると話していましたが、遅刻癖は治ったのでしょうか。テレビの世界では、カメラが回っているところで若手を叱責するとパワハラとか老害と言われかねないので、大御所ほどフワちゃんのタメ口や遅刻に対して鷹揚にかまえていましたが、その戦法がプロレスの世界で通用するとは限りません。

 フワちゃんにプロレスは無理だ、向いていないと言いたいのではなく、プロレス云々の前に、フワちゃんは団体行動が向いていないんじゃないかと思えてならないのです。

 そうはいっても、芸能活動を休止してから1年以上経っても、フワちゃんが忘れられた様子はありません。これは芸能人としてはものすごい才能と言えるのではないでしょうか。フワちゃんを受け入れたスターダムとて慈善事業ではありませんから、フワちゃんに才能もしくはメリットを感じて採用したのでしょう。フワちゃんが周囲に迷惑をかけずに、観客をイライラ、ハラハラさせて魅了するレスラーになる日を楽しみに待ちたいと思います。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」