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ー 止まらない高額化

 12月1日、雑貨ブランド『3COINS』から『3COINSモバイル プレミアムライン』として、プロジェクターと2WAYサウンドバーが発売された。価格はともに税込11000円。日用品を中心に“300円で買える手頃な店”として浸透してきたブランドだけに、1万円超の新商品に戸惑う声が一部で広がっている。

止まらない高額化

 X上には、《「3COINS」とは?》《スリコなのに300円からかけ離れた額で出すなら売らなきゃいいのに》《もう別ブランドを立てたほうがいいと思う》といった声が寄せられ、ブランド名と価格のギャップに疑問を抱く投稿が相次いだ。

 3COINSは1994年4月、大阪・梅田の茶屋町エリアに1号店がオープン。2024年8月時点で全国に323店舗を展開し、そのうち約7割は食品や生活雑貨を扱う『3COINS+plus』形態となっている。創業時は大半の商品が300円だったが、現在はデバイス関連やインテリア用品など数千円の商品も増え、客単価の上昇につながっている。

「今回の価格帯は、300円商品であれば30個ほど購入できる金額です。ブランド名から受ける印象と実際の売価が大きく離れたことで、“別ブランド化したほうがいい”という意見が出ている状況です。近年は100円ショップでも300円や500円の商品が増えており、もともとの価格帯の意味が薄れつつあると感じる人もいるようです」(経済ジャーナリスト、以下同)

 一方で、物価高が続く現在、従来の価格帯を維持すること自体が難しくなっているという指摘もある。

「素材費や輸送費の上昇により、低価格帯の商品だけで経営を保つのは厳しい状況です。3COINSが高額商品を取り入れる背景には、利益の安定化という面もあるでしょう。その一方で、1万円前後のデバイスであれば“家電メーカーを選びたい”と考える利用者が出るのも自然です」

 ただ、3COINSの人気自体は根強いとも語る。

「公式Instagramのフォロワーは200万人を超え、ナチュラルな色合いの生活雑貨や、12月13日から発売される『すみっコぐらし』とのコラボ商品など、幅広い層から支持を集めています。SNSでも新商品が紹介されるたびに話題になり、価格帯の広がりを肯定的に受け止める声もあります」

 手頃さと高機能の両立を模索する動きとも言え、今回のプレミアムラインがどこまで受け入れられるのかは今後の売れ行きに左右されそうだ。