フランス・パリのルーブル美術館が、ヨーロッパ以外からの来館客の入館料を大幅に値上げした。このニュースをきっかけにSNS上では日本の姫路城に関して、なぜ外国人だけを値上げ対象にしないのかといった疑問の声が上がっている。
ルーブル美術館は5800円に
ルーブル美術館は来年1月14日以降、欧州連合(EU)域内およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー以外の国からの観光客の入館料を、22ユーロ(約4000円)から32ユーロ(約5800円)にまで引き上げると発表した。
「ルーブル美術館は昨年の来館者の69%を外国人が占めていて、年間約36億円の収入増を見込んでいます。値上げの理由は、施設の維持に必要な“構造的な問題”への対処としています」(全国紙社会部記者、以下同)
一方、インバウンドに人気のある日本国内の“城”でも値上げの波は押し寄せている。世界遺産・姫路城の入城料は、2026年3月に市民以外を対象に現行の1000円から2500円へと引き上げられる予定だ。この値上げは、今後10年間で石垣の耐震補強や江戸時代の施設の復元といった約280億円の整備費が必要になったためだとしている。
姫路城の「2500円」という金額は、1200円ほどの大阪城や松本城と比べて倍以上のため高額に思えるが、SNS上ではもっと上げるべしとの声があるのだ。
「姫路城はルーブル美術館のような“外国人料金”を設定せず、姫路市民以外の日本人観光客も一律で2500円の値上げ対象としたため、SNS上で《外国からのインバウンドだけを値上げすべき》《外国人はもっと高くてもいい》といった意見が出ているのです。これは、オーバーツーリズムによる混雑や、物価高騰の現状に対する国民の不満が背景にあるのだと思います」
じつは姫路市も、当初はルーブル美術館のように“外国人だけを値上げ”する案を検討し、市長は一時、「外国人4500円、市民750円」という具体的な金額まで口にしていたのだが、結果的にその案は断念された。
「外国人観光客と国内客を明確に判別するのが難しいことや、議会で『差別的だ』という反対意見があったためです」
日中関係の冷え込みにより中国からの旅行者が多少減ったとはいえ、人気観光地のインバウンドによる混雑は収まる気配がない。日本人もインバウンドも、互いに気持ちよく観光できる環境を整えることが、行政に求められているだろう。
















