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ー 手数料だけを値下げしても…

 自民党の茂木敏充外務大臣が、12月23日の記者会見でパスポートの申請手数料の引き下げ方針を表明した。

手数料だけを値下げしても…

 2026年1月に招集される通常国会で旅券法の一部改正を提案し、同年7月に引き下げる方向で調整する。

「現在、18歳以上のパスポート申請は10年の有効期間は約1万6000円ですが、7000円下げた約9000円となる見込みです。5年の有効期間のパスポートは廃止となります。18歳未満の場合、5年有効期限は変わらず、一律4500円に引き下げられます。背景には手数料を抑え、旅行や留学など日本人の海外渡航を促したい狙いがあるとされます」(スポーツ紙記者)

 一方で、2026年7月には観光庁の出国税が現行の1000円から3000円に引き上げる方針も表明されている。

 それについて、ネット上では《パスポートの手数料を引き下げたところで、海外旅行やビジネスなどで頻繁に出国すれば、それだけ出国税が嵩むので、実質的には増税でしょう》《円安の最中、海外行く人は仕事かよほど興味関心ある人のみ》《オーバーツーリズム対策として外国人からの入国税を値上げして》など、“そこじゃない”と考えるネットユーザーが多いようだ。こうした声が相次ぐ理由を旅行ライターが解説する。

「コロナ禍以降、航空券の料金は以前に比べて高くなっています。さらに円安の影響で、海外へ行ったとしても“お得感”が感じられない場合も多い。日本人の海外渡航を促したいならば、まず“円安”をなんとかしてほしいと考える旅行者は多いはずです。また、インバウンドのオーバーツーリズム対策のほうも同時に進めてという意見も多くありました」

 日本のパスポートはビザなしで渡航できる国と地域が多い“最強パスポート”として知られている。

「イギリスのコンサルティング会社、ヘンリー・アンド・パートナーズが発表しているパスポートランキングでは、日本は世界で189カ国の国と地域にビザなしで渡航可能であり、193のシンガポール、190の韓国に次いで3位に位置しています。しかし、日本のパスポート取得率は17%程度と、先進国の中では低い水準にとどまっています。もともと海外へ興味を持たない人が多いので、申請料金を引き下げたとしても即座に取得率の底上げにつながるとは考えにくいですね」

 政府には、より根本的な問題をなんとかしてほしいものだ。