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ー 無傷の6連勝の炎鵬

 

「誰も想像できないような未来を作りたい」「みんなの期待以上を超える自信がある」

 昨年、名古屋場所で7場所ぶりの復帰を果たした炎鵬(伊勢ヶ濱部屋)が『デイリースポーツ』の取材で冒頭の言葉を発した。その言葉が現実となっている─。

無傷の6連勝の炎鵬

両国国技館
両国国技館

 大相撲初場所11日目の21日、両国国技館に詰めかけた観客が固唾を呑んで見守る一番があった。東幕下11枚目の炎鵬が、東幕下19枚目の栃丸との全勝対決を制し、無傷の6連勝。幕下15枚目以内で7番全勝すれば十両返り咲きがほぼ確実となる中、「あと1勝」に迫った炎鵬の土俵に、大きな拍手が響き渡った。

「大けがを負った炎鵬は2024年の7月場所、序ノ口から土俵に戻りました。観客もまばらな最下位の番付で、420日ぶりの出場を果たし初日こそ黒星を喫しましたが、そこから幕下へと駆け上がり、今場所は東幕下11枚目。昭和以降、幕内経験者が序ノ口から関取に復帰した例はなく、炎鵬が全勝して関取に復帰したらまさに前人未到の快挙となります」(スポーツ誌ライター)

 しかし、6勝目の取り組みで勢いあまって土俵下に落ちた際に左膝を負傷。花道を引き揚げる姿は明らかに左足を引きずっており、取組後は報道陣に「すみません」とだけ言い残し、国技館を後にしたという。奇跡の復活劇を目前にして、思わぬアクシデントに見舞われた形だ。

 2023年夏場所十両三枚目だった炎鵬は9連敗を喫した直後、部屋帰宅後に床に倒れそのまま病院に運ばれ脊髄損傷と診断された。医師からは、「日常生活さえ危うくなる、相撲は諦めてください」と宣告されたという。

 しかし、167センチ・99キロの小兵力士は、引退という二文字を受け入れなかった。「無理と言われるとやりたくなる性格」と複数の病院を訪ね再起の道を歩んできた。それだけに優勝目前での今回のアクシデントにファンも「おそらく意地でも出てくるだろう」「左膝が心配だが、なんとかもう一番踏ん張ってほしい」と、期待の声も大きい。

「関取復帰すれば、親方になるための資格要件の一つである関取在位30場所に到達します。場所中も『人生勝負の年。全て勝つつもりでやる』と覚悟を口にした炎鵬にとって、残り1番はまさに人生を賭けた一番です。怪我も心配ですが、ファンも期待せざるを得ないでしょう」(同・スポーツ誌ライター)

 初場所から旧宮城野部屋から伊勢ケ浜部屋に移籍した力士8名が一斉に改名。元横綱・白鵬の「鵬」の字が消え、新師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)ゆかりの「富士」がつく四股名に変わった。“白鵬色”が消えていく中、炎鵬だけが「鵬」の字を残したことも話題になっている。

 残り一番、炎鵬の取り組みに注目したい。