「去年、自宅で夫が転び、駆けつけたときには脈がなく、心肺停止で病院へ。人工呼吸器のおかげで蘇生して呼吸は戻ったものの、今も意識は戻らず全身麻痺なんです。その日から、私の人生が一変しました。これまで経験しなかった『お金の管理』の問題に直面。夫の高額な医療費や複雑な税金などの支払いに戸惑い、わずかな未納額で自宅差し押さえの通知まで来たときは、憤りすら感じました。
それまでの私はキリギリスで、夫はアリ。老後は堅実に暮らすべきという夫に対し、私には堅実な生活スタイルの実感が持てなくて。結局は、夫に依存して暮らしてきたんですよね」(藤野さん、以下同)
1900年代、「カリスマ主婦」としてその洗練されたライフスタイルと海外仕込みのレシピで一躍人気となり、主宰の料理教室は入会希望者が500人待ちに。テレビ、CM出演や講演もこなし、ついには政界へ進出した藤野さん。だが、政治の世界についてはほとんど知らなかったという。
出馬は“夫のため”
大学卒業後、就職せず国土交通省の官僚だった藤野公孝さんと24歳で結婚。以降、藤野家の家計管理は夫が行ってきた。
「決まったお金を夫から毎月渡されて、足りなければもらう、という生活を50年以上続けてきたんです。節約はあまり気にしたことはなくて。料理の仕事の収入は、自分投資と思い使い切っていました」
夫が倒れて以降、すべての習い事をやめ、わずかとなった蓄えを夫の医療費や6匹の保護犬・保護猫たちの飼育費に回す日々を送った。
現在は自宅での料理教室や講演のほか、障がい者支援をする企業との縁で、キッチンカーでのお菓子販売や、障がい者にお菓子作りを教えるなど、新しい仕事にも果敢に挑戦する。
「出馬したのは、夫が官僚時代からお世話になっていた二階(俊博)先生から『これも旦那のため』というひと言もあって。でも私なりに、動物愛護や食育などに注力しました。
動物愛護勉強会を立ち上げ、日本の遅れたペット事情を調査、ペットの遺棄、虐待、ペットビジネスなどの法改正の議論も深めました。ですが、新人議員は何をやっても意見は通りません。当選を重ねてベテラン議員になるほど、やりたいことが実現するスピードが速くなるのを目の当たりにしました。高市さんが首相になって国会が明るくなったし、コミュニケーション能力も高い方だから、外交にも良い影響が出るんじゃないかしら」
センスあふれる優雅な自宅で、手作りのケーキと香り高い紅茶を淹れて迎えてくれた藤野さんの言葉には、力がこもっていた。
「今の私には、動けない夫に、99歳の実母もいる。これって、これまで培った料理研究家としてのキャリア、そして政治家としてのキャリアを今こそフル活用してみなさいという、神様からの試練なのかなと。
あと、ずっと眠っている夫を見ていると、楽しかったこと、幸せだったことしか思い出さないんですよね。彼とはケンカもよくしていたのに。こんなひとときも、神様が与えてくれたものなのかもしれません」
※取材は2026年6月30日。夫・公孝さんは7月9日に逝去された。
藤野真紀子さん今後のスケジュール
・9/14(月)玉川高島屋にて、トークとカフェのイベント開催
・10/20(火)福井国際観光ホテルにてトークショーとスイーツコラボ開催
※問い合わせは各開催場所まで
取材・文/三尋木志保


















