25年越しのバトンタッチ

 田中さんは国仲にとって、母親役を演じた共演者というだけではない。『ちゅらさん』終了後も親交は続き、一緒に旅行するほどの関係に。国仲は田中さんについて「女優としても、分からないことを全て教えてくださって」「全てに支えられていた」と振り返っている。

「国仲さんにとって、今回の役は“年齢を重ねたから母親を演じる”というだけではないでしょう。自分がかつて田中さんから受け取ったものを、今度は自分がヒロインに返す。その意味では、25年をかけた“母娘のバトンタッチ”ともいえます」(芸能プロ関係者)

 実際、国仲自身も『ブラッサム』への出演が決まった際、「うれしさで涙がこぼれました」とコメント。自身も朝ドラヒロインを経験したからこそ、主演の石橋について「ヒロインが背負うプレッシャーや不安もよく理解しているつもり」とし、「石橋さんのそばで寄り添い、作品の中でも良い関係を築いていけたら」と語っている。

 放送でも、リョウと珠の関係は物語の重要な軸になっている。10月2日の第5回では、リョウが実家に戻ったことで離ればなれになった珠が、彼女を追って実家へ。玄関の前で「お母のほうが大事じゃ!」と父・清治に思いをぶつける場面が描かれ、血のつながらない母娘の間に育まれた絆が、視聴者の心を動かした回となった。

 かつて『ちゅらさん』で、田中好子さんに支えられながらヒロインを演じた国仲涼子。今度は自身がヒロインを支える母親役として、石橋静河のそばに立つ。

 田中さんが見ていた“ヒロインへの目線”を、自分も知りたい――。そんな思いから始まった25年越しの願いは、『ブラッサム』で新たな形の“母娘リレー”として受け継がれている。