自己防衛は「限界がある」
さらに、もう一つ懸念されるのが「クラウドサービスの認証情報」の大量流出だ。
「AWSやMicrosoft Azureといった、多くの企業が利用する大規模クラウドサービスのIDやパスワードが裏で大量に漏れていた場合、それを悪用して複数の企業へ次々に侵入された可能性も考えられます」
とはいえ、現時点で事件の根本的な原因が特定されたわけではない。
「個々の企業がそれぞれ侵入経路を調査していますが、単体で見ていては共通点に気づけません。だからこそ、各企業の被害状況や侵入経路を横断的に分析することが不可欠です。
これほど被害が拡大している以上、一企業だけの問題として処理するのは限界があります。政府やデジタル庁などが主導して情報を集約し、横断的な調査を進めるべきでしょう」
いつ自分の情報が漏れてもおかしくない時代。私たちはどう身を守ればいいのだろうか。
「残念ながら、事前に個人で防ぐには限界があります。企業に情報を預けている以上、利用者側ではどうしても防ぎきれない部分が大きいのが現実です。もし氏名や住所、電話番号が流出していると、詐欺電話でそれらの正確な情報を告げられ、“本物の連絡かも”と信じ込まされてしまう危険があります。そうした詐欺や“なりすまし”には十分警戒してください。
また、複数のサービスで同じパスワードを使い回している人は、今すぐ変更することをおすすめします」
便利なデジタル社会になればなるほど、私たちの個人情報は企業へと預けられていく。
自分ひとりでは防ぎようのない被害だからこそ、いま問われているのは企業の管理体制だけではない。社会全体として大切な情報をどう守っていくのか、抜本的な対策が急務となっている。


















