施行翌日には養子候補が出てきてもおかしくない

 政府は「養子と養親双方の自由な意思に基づき行われる」と説明しますが、そもそも個人の自由意思によって皇族の身分を取得できるのかという根本的な問いが残ります。入る権利は自由意思で認められながら、離脱の自由は制限されるのか。こうしたさまざまな問題を抱えている養子案ですが、10月24日に施行されるので、その翌日には養子候補が出てきてもおかしくないわけです。

 8月21日、医療福祉センター「ふくしあ」を訪問された愛子さま。ボッチャに挑戦し“奇跡”を起こした瞬間
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【写真】女性皇族として公務をこなされる佳子さま1歳8か月のころ、姉・眞子さんの手をギュッと握って。ほか、小室眞子さんと佳子さま姉妹の歩み

 さらに女性皇族が結婚後も皇室に残る案についても、配偶者や子には皇族の身分も継承権も与えない「一代限り」の措置にとどまっています。これは「公務の担い手としての役割は求めるが、血統としての家系は認めない」という極めて不自然な制度設計で、いびつな家庭形態を強いることになりかねません。象徴天皇制の根幹を支えるのは、国民の深い理解と敬愛、そして共感です。幼少期から歩みを見守ってきた皇族方とは異なり、不透明なプロセスの末に突如現れた方を、国民が心から受け入れることは容易ではなく、長年培われてきた皇室の権威そのものを揺るがしかねません。

 直系長子への継承を重んじる「性別を問わない長子継承」の確立こそが、最も明快で国民の共感を得やすい解決策ではないでしょうか。女性皇族が築かれるご家庭にも継承権を認めることこそが、開かれた持続可能な皇室の存続につながります。今回の議論を機に、天皇制の未来を国民が「自分事」として捉え、より開かれた議論を深めていくことが不可欠です。

本郷恵子 東京大学名誉教授。元東京大学史料編纂所所長。日本中世史を専門とし、著書には『院政 天皇と上皇の日本史』(講談社)『天皇家の存続と継承:中世の転換から現代へ』(吉川弘文館)など