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 シャープやソニーなどの大企業が数千人規模で希望退職者を募るなど、リストラの波はまだ収まっていない。

 もし夫が退職を決意したら、行うべきは家計の見直しだ。就職先が決まるまではもちろん、再就職しても今までの収入をキープすることは難しい。

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の黒田尚子さんは、「1・収入のポケットを増やす、2・聖域なき支出ダウン。この2つを実践してください」と指摘。1は、減ってしまった夫の収入を補塡するため、妻や子どもが働く。

「FPは、これを“ポケットを増やす”と呼びます。専業主婦であれば、パートに出る。パートをしていたのであれば、派遣や正社員を目指すなどのキャリアアップを図ってください。子どもが高校生以上なら、バイトで学費ぐらいは捻出させましょう」(黒田さん)

 2は、細かい節約はさておき、固定費を削って支出の大幅カットを図る。固定費とは家賃、教育費、保険料などのこと。食費、光熱費のような変動費のほうが削りやすそうだが……。

「デフレ状態が長く続いたため、節約は今や主婦のたしなみのひとつ。もはや伸びしろがないご家庭も少なくありません。劇的な効果が見込めない変動費などの節約は後回しでよいかも」(黒田さん)

 子どもの将来を考えると教育費は死守したいところだ。

「今ある危機を乗り越えずして、明るい未来はありません。私立から公立にするなど教育プランを変えましょう。聖域を作ってはいけないのです。携帯代も大きく圧縮できる費目。スマホからガラケーに変えれば、半額近くに圧縮できるはず」(黒田さん)

 これらを実践するには、家族の協力が必須。黒田さんはFP協会などが主催の無料相談会に家族で参加することをオススメする。

「他人が厳しい現実を突きつけて、納得せざるをえない状況をつくるのです」(黒田さん)

 また、公的機関への申請も忘れてはならない。

「退職したら、企業の健康保険から国民健康保険に切り替わります。その際、支払う金額を減らせる減免制度を利用しましょう。国民年金にも保険料免除制度があるので、まずは自治体に相談してください」(黒田さん)

 低所得者や高齢者世帯が無利子でお金を借りられる『生活福祉資金貸付制度』(連帯保証人を立てた場合)などの公的支援もあるので、家計の危機を乗り切る手段としてフル活用しよう。

 また、住宅ローンを組んでいるなら、すぐに銀行で返済方法を見直すべき。

「こういうご時世ですから、銀行は昔に比べて、気軽に相談に乗ってくれます。夫の再就職が決まるまでは、返済期間を延ばして毎月の支払い額を減らすなど、一時的な見直しをしましょう」(黒田さん)

 このとき、前述した家計の見直し1、2を実践していると、より交渉しやすい。

「妻や子どもの収入がある、教育費を圧縮するなど、明るい見通しがあるとベター」(黒田さん)