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 昨年、横浜市で起きた大規模な“欠陥マンション事件”。全国に衝撃が走ったが、住宅調査の専門家・長井良至さん(住宅調査の専門会社「カノム」代表)はこう語る。

「住宅調査をすると、何も不具合を感じていなくても、経験上、6割くらいで建物の安全性を揺るがすような欠陥が見つかります」

 長井さんは一級建築士の資格を持ち、新築から中古、リフォームまで、毎日3~4件の現場を確認し、累計2000件を超える住宅を調査してきた。 実は、外壁のひび、閉まりづらい戸など、経年劣化でしかたがないと思っている問題も、業者のミスが原因かもしれないのだと言う。

「病気と同じように考えて、不具合の芽を早めに摘むこと。ですから、自宅のチェックは大切ですね。業者によるミスの場合、早期にわかれば、保証範囲内で修理できることもありますし、逆に時間がたてばたつほど、保証期間切れや経年劣化を理由に、業者に逃げられて自己負担での補修になります」(長井さん)

 そこで今回は、なんとなく放ったらかしになっていた自宅の不具合を総確認して、修理不要の状況か、即修理をすべきかをジャッジするポイントを伝授。

 なおチェック時は、写真を撮っておくのがおすすめ。いつからその不具合が起こっているかも書き出しておこう。また、家族全員に聞けば、自分では気づかなかった問題も発覚するかも。

※建物の状況(築年数、立地など)により、欠陥かどうかの判断は異なる場合もあります。

【雨漏り】

 屋根瓦の割れなど、修理すれば大丈夫な場合が多い。

「屋根や壁などの防水工事の不備など、欠陥が原因の場合も。雨漏りは、壁内に水が入って柱や土台が根腐れしたり、シロアリが繁殖する要因にもなるので、早めの対処が大切です」

 どの程度、どの場所が雨漏りするかをきちんとメモしておくと、対応しやすい。

【結露】

 最近の建物は高い気密性を保持しており、水蒸気がたまりやすい。特に冬は窓枠やガラス面への結露がつきもの。室内の内壁・天井・床・床下にまで広がる場合、まずは換気不足を疑うこと。

「24時間換気扇をつけっぱなしにする、もしくは換気の頻度を多くしましょう。除湿器を利用してもOK。加湿器の使いすぎの場合もありますので、使用をやめてみてください。それでも効果がない場合は、断熱材がはずれている可能性があります」

 断熱材が使われていないという最悪の事態も。

【カビ】

 浴室のカビは手入れや換気の問題。一方、室内の内壁・天井・床下のカビを放っておくと体調を崩すことも。

「主な原因は、断熱材などの不具合による異常な結露、雨漏りや水漏れ、床下に水がたまっているなどです。いずれにしても、内壁や天井にカビが生えるのは、普通ではありません。何らかの欠陥があると思われます」

 結露については、前述の対策をし、その他の場合は専門家に調査→修理が必要と考えておいたほうがよさそう。

【クロスのはがれ】

 クロスの継ぎ目が少しはがれるという程度は、施工時の接着不良も考えられるが欠陥と言えるほどではない。自然に“べろん”とはがれた場合はアウト。

「主な要因は2つ。断熱材欠如による結露のため、あるいは下地が十分に乾燥しない状態でクロスを貼ったか。どちらも業者のミスです。通常、クロスに関する保証は2年。不具合は早めに対応を。施工業者によっては保証がない場合もあるので確認しましょう」

イラスト/上田惣子