【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】2017年4月、10%に引き上げられる消費税率。これに伴う税金の負担軽減策について、9月10日、財務省は酒類を除くすべての飲料や食料品を購入した際、希望者のみに交付される、マイナンバー制度を活用した“個人番号カード”を提示して購入金額をポイント化し、後日2%の増税分を現金で消費者の口座に振り込むなどとする案を提出した。今回のケースを含め、行政の税金の使い方には疑問を持たざるを得ないとフィフィは言う。

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 この提案、そもそも国民が不安に思っているマイナンバー制度を活用しなければならないわけでしょ。しかも何を買ったかという、極めてプライベートなことまで国に管理されるなんて、気持ちが悪いというひと言に尽きます。

 そして、還付金は年間1人4000円までという上限があるうえに、それを受け取るには、任意である”個人番号カード”をわざわざ発行して、インターネットを通して複雑な事務処理を経なければならない。となると、この制度を利用しない人や、リテラシーのなさゆえに利用したくてもできない人だって出てくるわけ。さらに、このシステムの構築自体にも莫大な税金が使われるんです。

 今回の件を含め、私は国の税金の使い方に大きな疑問がある。私自身、子育てを通して痛感している、その最たる例のひとつが“児童手当”です。

「児童手当、本当に子どものために使われている?」

 養う子どもの人数や年齢、年間の所得によって違いはありますが、現在、中学生以下の子どもひとりにつき、ひと月ごと10000円〜15000円の児童手当が支給がされていますよね。一方、未納問題が騒がれている給食費は地域によって差はあれど、月額で4000〜5000円ぐらいなんです。中学校でも平均5000円ほど。つまり、この手当で十分まかなえる金額なんですよね。

 それにも関わらず、親が給食費を払わないがために、給食を停止されそうになった子どもが現実にいるわけです。もしかしたら、給食が命をつなぐものになっている家庭だってあるかもしれないのにね。日本の給食制度は世界からお手本とされていて誇るべきものなのに、こんな問題が起きているのは嘆かわしいです。

 一口に親といっても、いろんな人がいます。現金で支給された児童手当を、全員が全員、子どものために使うとは限りません。そうした現状がある以上、行政がすべての親に対して“児童手当をうまく使ってください”と期待するのはどうかと思うよ。

 実際に、行政のやり方次第で、給食費未納問題は防げるんですから。つまり、本当に子どもたちのためになる方法を考えるのならば、親に現金を振り込む代わりに、最初から給食費を支払わなくていいようにする制度を整え、子どもたちが皆、給食を食べられる環境を作るべきなのではないでしょうか。

 今回の消費税の負担軽減策や、給食費の未納問題などを見ても明らかなように、問題なのは、国民が払った税金を現金で還元しようとするという行政の安易な姿勢です。

 消費税を上げること自体に、私は必ずしも否定的ではないの。だけど、税率を上げるのならば、その分、国民の生活を良くするための制度そのものを充実させて、しっかりと還元すべきだと思います。福祉や医療、教育など、私たちの税金を使って整えていくべき課題はほかにもたくさんあるはず。

《構成・文/岸沙織》