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 資産家・河村龍太郎(伊東四朗)の総額10億円とも言われる財産をめぐる争いを繰り広げる一家に婿入りした研修医の姿を描いた、井上由美子脚本のホームドラマ『遺産争族』(テレビ朝日系・木曜夜9時~)が好調だ。

 そのなかで板谷由夏は、欲にまみれた家族の一員で、龍太郎の三女・凜子を演じている。

「この作品をきっかけに、家でも遺産相続について話しました。もめて妹と仲が悪くなったりしたら嫌ですから、両親には残そうと思わずに使い切っちゃって、と言っています。相続問題は、誰にとっても本当に身近にある話だと思います。

 最初は何でもズバズバ言う凜子を“この人、大丈夫?”って思いました(笑い)。私は長女なので、周りに気配りして言いたいことをのみ込んじゃうのですが、妹は凜子のように自由。下の子の特権かもしれません。“そうか、ズバズバ言っちゃっていいんだ!”と考えたら、凜子になりきれました」

 長女・陽子役に余貴美子、次女・月子役に室井滋が扮し、“美人三姉妹”の末っ子を楽しんでいる。

「妹気分を満喫中です。(スタジオの)前室では、お姉ちゃんたちとキャッキャとしゃべり、のびのびさせてもらっています」

 相続問題に翻弄される、主人公の研修医・育生役に向井理、育生が結婚する龍太郎の孫娘・楓役に榮倉奈々が扮している。3度目の共演で、初めての夫婦役を演じる向井と榮倉についてはこう語る。

「向井くんは育生にちょっと似ているかな。飄々としているけれど、芯はまっすぐですね。奈々ちゃんはあるがままの人。自然に役に入っている感じがします」

 血なまぐさいバトルが激化しそうだが、そうそうたる顔ぶれの出演者がそろう現場は和やかな雰囲気。ムードメーカーは室井という。

「室井さんが仕掛けたイタズラに乗っかってみんなで楽しんでいるけれど、本番になるとみなさん、一発OKを出すんです。私はみなさんのお芝居を見るのが楽しくてしょうがないんです。現場でのあり方や人として生きるスタイルなどに確たるものをお持ちで“人間力”の高い方ばかり。だから前室でも伊東さんの佇まいや岸部さんの行動など、みなさんのお姿を目で追ってしまいます」

 差し入れも充実。最近では、老舗『天のや』の玉子サンドイッチがおいしかったそう。

「みなさんおいしいものをよくご存じなんです。ついパクパク食べちゃいます」

 物語は、育生とともに河村家を出た楓に嫁姑バトルが勃発する一方、今まで本音を表に出さなかった長女の陽子が、“河村家の財産を全部私にちょうだい!”と、龍太郎に詰め寄ったり、骨肉の争いは醜さを増していく。

「誰が味方で誰が敵か。全員が敵同士かもしれないですね。何を考えているのかわからない河村家の人々の“争族”問題は、これからますます展開していくと思います」

 11月19日放送の第5話では、龍太郎が死亡の危険に迫られた場合に許される「危急時遺言」を作成。その内容が明らかに。

「河村家がどうなっていくのか、私も楽しみにしています。できれば争っても、最後は元に戻ってほしいなあ。ハッピーとまでいかなくても、お互いを思いやれるような結末を迎えてほしいですね」