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 初共演の斎藤工と遠藤新菜が恋人役を演じた映画『無伴奏』。'69~'71年の反戦運動や全共闘運動が盛んに行われていた激動の時代の仙台を舞台に、高校生の響子(成海璃子)の目線で見る“愛と死とエロス”を描いている。

 それぞれが演じた役柄(女子高生と大学生)の時代に、どう過ごしていたかを聞いた。

遠藤「劇中のエマとは違って、すごく現代的な青春を過ごしていました。いまの高校生だなって感じの。お昼休みにコンビニにお菓子を買いに行くとか、わざわざピザを頼んでお昼にみんなで食べるとか(笑い)」

斎藤「原作もそうですけど、当時を振り返ると若かったなと思います。あのころは、アンテナがすごく敏感だったというか、繊細だった気がして。いちばん開けていた期間だった。

  好奇心とか行動力もあったし、いろいろな体験において、前例がなくて初めてだったので興味を持つことができたのかなと思います」

 そう語る斎藤が絶賛した遠藤とのラブシーンはドキドキする濃厚なものだった。

遠藤「どうしようというより、やってみるしかないっていう気持ちでした。斎藤さんに、すごくリードしていただいた印象があります。“奔放なエマ”だからという部分から、なにかしら衝撃を感じてもらえたらうれしいなと思います」

斎藤「基本的にヒロインの響子の目線で物語が進んでいくので、僕らのラブシーンが彼女にどう映るかが、大事だった気がします。特殊なシーンとして存在していないくらい溶け込んだシーンになったらいいなと思いますし、実際にそうなっているとも。

 ただ、男女でラブシーンのとらえ方って違うと思うので、“エマが美しく見えたらいいな”と、考えながら演じました」

 さらに、斎藤は今作での池松壮亮との美しすぎるラブシーンも話題になっていることを伝えた。

斎藤「そうですか(笑い)。僕、男性とのラブシーンって、何度か経験があるので。おじさんに路地裏で強姦されて殴られるシーンとか、けっこういろいろ体験してきたので、(今回のことは)ビックリはしなかったです。池松さんとは初めて。必要なシーンだっていうのはわかっているので、そこに向かいましょうっていう感じ。

 撮影はちょうど1年前のいまごろ。吹き抜けの茶室ですごく寒かったので、相手で温まるような。(相手が男性でも)むしろ、肌が接触しているほうがいい。雪山で遭難するって、こういう感じなんだろうなと思いました(笑い)」

遠藤「本当に寒かったので、(肌を合わせて)暖を取る感じでしたね」

斎藤「人って、温かいんだなって(笑い)。体温は、ちゃんと感じていたと思います。みんなお互いに」

撮影/伊藤和幸