ジャーナリストの大谷昭宏氏は「舛添氏のようなインチキがあるとわかったことだけが収穫」と手厳しい。

「多くの国民は、法的問題の有無で怒ったわけではない。お正月の家族旅行中、のこのこ宿泊先ホテルの部屋を訪ねて会議する人間がいるか、と信じられなかっただけ。ところが論客で知られる舛添氏は、みんながおかしいと思っている疑問について、ことごとく論理で返そうとした。

 正月だろうと夏休みだろうと家族旅行に第三者が割って入る可能性はゼロではありませんよ、と。しかし、常識的には考えにくい。学者バカにはそれがわからなかった」(大谷氏)

 この機会に、政治資金の規制の是非などを議論することが望ましいという。

 政治とカネ問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「改善点は2つある」として次のように話す。

「政治活動の自由という観点からみて、法的に政治資金の使い道を限定するのは難しい。ただし、国会議員の政治資金に対しては監査が行われている。ところが、帳簿と領収書を合わせる外形監査だけ。

 監査人が“この使い道は何ですか”などと質問できる実質的な監査にしたほうがいい。国会議員と都道府県知事ぐらいは中身をチェックできるようにすべき」(岩井教授)

 国会で立法する必要はなく、政治資金規正法の施行規則を変えればできるという。

「もうひとつは、政治資金規正法で定められた目的や定義を『授受』から『収支』に広げる。政治家の矜持として、支出も大事なんだと宣言するべき。各政党が政治活動のガイドラインをつくって、透明性を高めていくことが求められる」(岩井教授)

 政治団体名もわかりにくい。舛添氏の場合、グローバルネットワーク研究会や泰山会など名称に『舛添』と入っていないのでチェックしにくかった。岩井教授によれば、政治団体は全国で約6万~7万団体あるという。個人名が入らない政治団体はごまんとある。

「わかりやすい名称にしたほうがいい。ただし、結社の自由との兼ね合いもあってこれは難しい」(岩井教授)