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 横浜市の小中学校17校で、高濃度の放射能汚泥が置かれたままになっていることが発覚。8000ベクレル以下の除染土を公共事業で再利用する計画も進められ……。

 3・11から5年、福島原発事故で日本中にまき散らされた放射能汚染の影響は、今なお続いていた。

■汚染も被ばくも小さく見せる計画

 汚染は終わっていない。3月末時点で確認されている指定廃棄物は12都県で約17万トン。また福島県内での除染処理によって集められた汚染土等は、2千万立方メートルに及ぶ。最終処分場は素案すら発表されていない。

 そんな中、環境省は恐るべき計画を打ち出した。『環境エネルギー政策研究所』所長の飯田哲也さんが指摘する。

「3月に発表した、8000ベクレル以下の除染土を公共事業に利用する計画で、覆土などをしたうえで再利用しようというものです。汚染が拡散される恐れがあります」

 小さくして、閉じ込めて、人間社会から隔離する。それが放射性物質を扱う際の大原則だが、環境省の計画はこの真逆を行く、と飯田さん。

「目前の問題に追われているうちに場当たり的な対応しかできなくなっている。再利用しか出口がないとして、そこで突破を図ろうとしています」

 加えて、指定廃棄物を再計測して8000ベクレルを下回った場合、指定を解除し、市町村が管理型の処分場への埋め立て処分などをして処理できる新ルールも決定。

「放射能の影響を軽視して、被害を小さく見せる動きが強まっている。住民の健康と福祉を尊重する姿勢がすっ飛ばされて、自治体が強引に突き進めてしまうということが今後、いろんなところで起きるかもしれません」(飯田さん)

「福島事故でまき散らされた放射性物質のうち、特に汚染度の高いものは環境省が責任をもって処理すると、国は自治体や国民に約束しました。ところが前述した横浜市の問題や、指定廃棄物の指定解除による市町村への責任転嫁、除染土の再活用基準の見直しによる汚染物の全国へのばらまきとなって次々にほころびつつあります」(青木さん)