マイナス金利と都心マンションバブル

「最後の手段が、今年2月に導入された『マイナス金利』。民間銀行が日本銀行に預けている預金の金利をマイナスにすることで、預けっぱなしでは損をするから、企業や個人への融資に回すのではないかという目論見でした。でも実際は景気がよくないので、まともな借り手がいなかった。単なる銀行いじめです」

 と森永さんはバッサリ。融資へと促す目的は果たせず、地方銀行、信用金庫などにしわ寄せが……。

「マイナス金利で国債の利回りが大きく低下し、金融商品の運用益も減っています。そのため、ゆうちょ銀行では、口座を持つ人同士の送金手数料を月4回目から有料に変えました。

 国債を買い付けてもマイナス金利で目減りしてしまうので、三菱東京UFJ銀行のように、国債入札の特別資格の返上をするところも現れた。普通預金の金利もさらに下がり、ほとんどタンス貯金に近い状況に陥っています」(郭教授)

 銀行の住宅ローン金利も過去最低の水準に。借り換えが進んでいたが、長期金利が上昇傾向を見せているとして三井住友銀行ほか大手銀行は今月から、5か月ぶりに金利を引き上げる。

 森永さんが警告する。

「今から都心近辺の物件に手を出すのは絶対にやめておいたほうがいい。前述したとおり、マイナス金利で融資に回そうとしても貸し付ける相手がいなかった大手銀行は、事実上、そのお金を都心の不動産投機に回しています。結果として十数億のマンションがどんどん建ったり、銀座4丁目の路線価は約1億にまで跳ね上がったりしている」

 このバブル崩壊へのカウントダウンはすでに始まっている、と森永さん。

「東京五輪後の不況が懸念されていますが、それ以前に、2018年にはバブルがはじけるのではないか」