児童相談所があるが『親相談所』はない

 虐待虐待を呼び、次の世代に連鎖して、最後には悲劇的な結末を伴って爆発するこの現実。日本小児科学会は子どもの虐待死の実数を1年におよそ350件と推計。

 それを踏まえて、最後に石井さんが言います。

「子どもを救う場所として児童相談所がありますが、『親相談所』ってないんです。子どもを育てられない親って必ずいて、本人たちもそのことに苦しんでいます。

 でも、それを公に相談したら、子どもは取り上げられてしまう。そんな親たちを責めるのでなく、“よく頑張ってここまで育ててきたね”と寄り添ってくれる場所があれば……。親も子どもたちも、きっと救われると思います」