葬儀・法要編

■突然の訃報で「ご厚志お断りします」。香典は持っていく?(★)

 念のため持っていきます。「ご厚志お断りします」は「香典も供物・供花も受け取りません」という意味ですが、気がかりですよね。最初から「断っているから香典は必要ない」という態度より、一応持参して、お伺いを立てるといいと思います。受け取る場合もありますし、本当に受け取らない場合は、ちゃんと向こうでお断りされますから。

■「供物・供花を辞退します」とある場合、香典は持っていく?(★)

 正解は、持っていく。これは「供物と供花は受け取りません」という意味なので、香典はその中に含まれていません。手ぶらはNGです。先の「ご厚志お断りします」との違いを知っているといいですね。

■宗派のわからない葬儀。香典袋に書くのは「御霊前」?「玉串料」?(★)

 宗派のわからない場合なら「御霊前」。基本的にはオールマイティーに使えるとされています。神式やキリスト教式の葬儀でも許容範囲ではありますが、明らかに神式なのに「御霊前」は、やはり適切ではありません。せめてどの宗教なのかぐらいはわかっていたほうがいいです。神式の場合は「玉串料」、キリスト教式の場合は「お花料」などが一般的です。

 ただし、蓮の花が描かれた香典袋は仏式だけ。神式の葬儀に蓮の花が描かれた香典袋は、「御霊前」と書いてあってもNGです。無地の香典袋であればセーフです。

■通夜に「平服でお越しください」は地味な普段着でもいい?

 葬儀の平服とは、地味なワンピースやアンサンブルなどの“略喪服”のことです。男性ならダークスーツを着用します。決して普段着のことではないので注意しましょう。もちろん、喪服でもまったく問題ありません。

■キリスト教式の葬儀で「心よりお悔やみ申し上げます」は不適切?(★)

「お悔やみ申し上げます」「御愁傷さまです」は仏式です。キリスト教では「安らかな眠りをお祈りします」が適切。死は神のもとに召されることだから悲しむべきことではない、とされるためです。神式では「御霊のご平安をお祈り申し上げます」です。一般的なお悔やみの言葉とは異なるので注意してください。

■遠方で出席できない。香典を郵送する? 出さない?

 やはり郵送するなり、一報入れてから後日改めて訪問するなり、お悔やみの気持ちを伝えるアクションをしたほうがいいと思います。郵送の場合は、現金書留に不祝儀袋を入れ、伺えなかったお詫びの書面も同封します。最近は香典袋に新札を入れてもタブー視されなくなってきましたが、やはり古いお札のほうが無難です。

<教えてくれた人>
◎諏内えみさん
マナースクール ライビウム』『親子・お受験作法教室』代表。情報サイト『All About』暮らしのマナーガイド。ハッとされる所作や、また会いたいと思わせる会話術の講座が人気。仲間由紀恵など、有名女優へのマナー&所作指導も。メディア出演、著書多数
◎三浦康子さん
和文化研究家、情報サイト『All About』暮らしの歳時記ガイド、順天堂大学非常勤講師。日本の行事、風習、礼儀などに造詣が深い。『ノンストップ!』ほかメディア出演多数。近著『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)