「市教委の対応にはバカにされていると感じた」

 '13年11月、神奈川県相模原市内の中学2年生(当時)の横山徹くんが自殺を図り、搬送先の病院で息を引き取った。

 徹くんは発達障害(アスペルガー症候群)と診断され、友人とのコミュニケーションが得意ではない子だった。

「小学生のころからいじめを受けていました。相性がよい子と悪い子の差がありました」(母親の祐巳さん)

 自殺当日の夕方、妹の樹里さんが徹くんに用事があって部屋に行くと、自殺を図ったところを発見。すぐに救急車を呼んでその際は一命を取りとめたものの、10日後に病院で死亡が確認された。

「学校でのいじめか、その対応が理由なのかと思っていました。それがなければ死を選ばないと思います。家では自傷行為もしませんし、まさか、自分の子どもが自殺するなんて……」(前出・祐巳さん)

 当初から祐巳さんは学校側に「自殺の背景調査をしてほしい」と訴えていたが、学校や市教委は、調査を渋った。調査委設置を希望した際にも不満が残った。祐巳さんは「遺族推薦の調査メンバーを入れてほしい」と希望したのだが、相模原市の市教委からは「中立公正でなくなる」と断られたという。その後に調査委が設置されるが、生徒へのアンケート調査も行われない日々が続いたという。

2年生の終わりごろ“きちんと調査をしてほしい”と言っても、なかなか動いてくれませんでした。結局、卒業間近にアンケートをすることになったのです

 アンケート調査の動き始めも遅く、しかも同じクラスと部活のメンバーに限定。

「学校でも市教委でも、重大事案と認識していませんでした。そのため、当初は教員に対する聞き取りだけ。市教委の対応にはバカにされていると感じました