渋谷区代々木上原の閑静な住宅街にビルを構えるJASRACとヤマハ音楽教室

 今後については、

「先方は会を作られていますが、契約の当事者は個々の事業者様です。それぞれに誠意を持って話し合いを進めていきたいです。法律の解釈のズレというのは、もしかしたらもうすり合わせをすることが難しいのかもしれません」(前出・JASRAC広報部)

「たくさんの方から会の方針に賛同を得て、入会していただきました。まだ具体的にどういったことをするかは決まっていませんが、会のみなさんと一緒に対応していくことになると思います」(前出・ヤマハ音楽振興会広報部)

美容室でも著作権料が発生?

 '80年代に一世を風靡したバンド『爆風スランプ』のドラマーで、名曲『Runner』の作曲者でもあるファンキー末吉さんは現在、音楽活動とともに都内でライブハウスを経営している。ライブハウスで著作権の発生する楽曲が演奏された場合、事業者は著作権料を支払わなければならないが、末吉さんはJASRACの著作権料の徴収の仕方に疑問を持ち、支払いについて現在、法廷で係争中だ。

「本来は“この曲が何回演奏されたからいくら払う”というのが正しいやり方のはず。でも今はライブハウスにおける著作権料は、“包括契約”といって、店の席数と広さによって決まるのです。演奏された回数は関係ないので、作詞者や作曲者に支払われるはずの著作権料が正確に支払われていない」(末吉さん)

 では、著作権料の分配金額はどうやって決まるかというと、バーなどの飲食店も含めた“社交場”800店での利用曲を、JASRACが四半期ごとに調査し、その比率によって算出される。覆面の調査員が来ることもあるという。

「ライブハウスは1日10曲程度しか演奏されないんだから、きちんと報告することができるのに、それをさせない。調査結果は上位以外はアーティストには明らかにされないので、もらえる著作権料がなぜその金額になるかわからない。著作権者は提示された額を信じるほかにない。なぜかもらえる金額のゼロが突然1つ少なくなったこともありましたよ」(前出・末吉さん)

 末吉さんは「著作権料の支払いは著作権者だけでなく、みなさんの生活にも影響を与える問題」とも話す。

「チケット代にはライブハウスがJASRACに支払う著作権料が乗せられています。大好きな人のライブを見て、お金を払っているのに、演奏していたアーティストにはきちんと分配されていないのです。

 ライブハウスだけでなく、音楽を流している美容室も著作権料が発生します。1回のカット料金の中に知らず知らずのうちに著作権料が含まれているということです。音楽教室も今後、月謝などに著作権料が乗せられていくでしょうね」(前出・末吉さん)