『週刊女性』60周年を記念して、週女OB である芸能レポーターの石川敏夫氏に芸能記者時代の思い出を語ってもらった。敏ちゃんの一番のスクープとは?

芸能リポーターの石川敏男氏 

「都はるみさんと朝月広臣さんの結婚報道がボクの週女記者時代一番のスクープ。日時の情報を朝月さん本人から入手して、当日はグアム中の教会に電話。“いま日本人が式を挙げてませんか?”って聞きまくって探し当てた。

 式の翌日、たまたまあったコロムビアのパーティーでお偉いさんたちに探りを入れても、誰も式のことを知らない。“結婚はまだだろう”なんて否定までしてくれたから、その翌週の発売号は完全に出し抜けたんだよ!

 まぁでも、それまで2人が何年も同棲していたことは知っていても書かなかった。だからこそ朝月さんも、式のことを教えてくれたんだろうね。

渡哲也さんに後ろからお尻を叩かれて

 昔はこういう、取材記者とタレントの“もちつもたれつ”って関係があった。仲がよかった。他愛もない話をして、一緒にご飯食べて。銀座を歩いていて、渡哲也さんが後ろからお尻を叩いてきて、“よぉ、また飲んでるの~?”なんて声かけてきたこともあった。

 渡さんといえばグラビア班時代に密着取材したことがあったね。石和温泉で、渡さんを脱がせて露天風呂で撮影していたら、カラカラッてドアが開いて裸の石原裕次郎さんが現れた。“テツひとりじゃ絵にならないだろ?”って言って、2人でお風呂に入ってる絵を撮らせてくれたんだよ! すごくありがたかったな。

 そんな石原さんも亡くなって、最近はもうタレントと取材記者のいい関係がないよね。世知辛い世の中になってしまった、これが昭和の終わりかなって思ったよ。写真週刊誌も出てきたしね。これは現実に起きてることをバッチリ撮られちゃうわけだから、タレントはもう何も否定できない。タレント側にはつらい話。

 あとSNSも登場した。タレントが事務所やマスコミを通さずに、世間と直接対応しちゃうからね。いい悪いじゃないけど、どちらも一方的な気がする。タレントも取材記者もお互い、いい意味で商売道具。ボク自身はやっぱり昔のスタイルが好きだね」

<プロフィール>
いしかわ・としお◎芸能レポーター。元『週刊女性』芸能記者。松竹宣伝部を経て、女性誌記者に転身。’72年、主婦と生活社に入社。以降、『おもいッきりテレビ』契約レポーターとして独立するまでの16年間、『週刊女性』編集部に在籍。愛称はびんちゃん。