俳優・大村崑さん「小林幸子さんへ食事のお誘い」

大村崑さん◎おおむら・こん 『とんま天狗』『赤い霊柩車』シリーズなど昭和を代表する喜劇俳優。「小林幸子さんは、子役時代から天性のものを持ってるなと感じてました」
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Q1.普段はどんな手紙を書きますか?

「僕らの世代は、筆でチャチャッと手紙やハガキを書くのが普通。サインも筆でしか書きませんからね。

 余談ですが、僕は年賀状をたくさんいただくんやけど、最初にやる作業は大量の年賀状の束から、直筆で書いたものだけ抜き出すこと。あて名も手書きのものをね。で、印刷しているものはゴムで縛ってどける。オール印刷の年賀状には返事は出さない。年賀状じゃない普通の官製ハガキに返事を書いていく。《遅い年賀状ですんません。賀状ありがとうね。元気でっか?》というふうにひと言。2~3月はずっとその作業ですね。えらそうに思われるかもしれませんけど、たいがい僕がいちばん年上やから許してもらえるでしょ。

 旅先ではホテルの便箋を使って書きます。《ここにいます》ゆうてアリバイみたいなもんやな。夜中にフロント行って “出しといてや” とね。友人からもらってもうれしいから、きっと喜んでくれるとちがいますか」

【大村崑さんから・小林幸子さんへ/お食事のお誘い(往復書簡)】

Q2.忘れられない手紙の思い出は?

「僕はね、文房具屋さんが大好き。東京に来たときも必ず大きな文房具屋さんに行きます。行くだけじゃなくて当然買うからわが家は文房具だらけですわ。妻に “あなたが死んだらあの山のような文房具もお棺に入れますから” なんて言われてますよ(笑)」

Q3.あなたにとって手紙とは?

「自分の心の一部をお見せする手段。手書きの手紙だから伝えられる。書きながら “どないしたら笑かせるやろ” とか “どないしたら喜んでくれるやろ” なんて相手の顔を思い浮かべながら書いてるのは楽しいね」

歌手・小林幸子さん「オリジナルの手紙グッズでお礼を伝えます」

小林幸子さん◎こばやし・さちこ。「大村崑師匠の『とんま天狗』にゲストで呼ばれたときは感激でした。テーマソングも歌えるほどのファンでしたから」

Q1.普段はどんな手紙を書きますか?

「プレゼントをいただいたときや、仕事でお世話になった方にお礼を伝えたいときに書きますね。書く場所は、楽屋だったり、事務所だったりいろいろです。私はオリジナルの自分の封筒と便箋を持っているんです。あと5種類の『さっちゃんポストカード』もね。カードは一筆箋のように使います。いつも持ち歩いている筆記用具は3種類の万年筆型の筆ペンですね」

Q2.忘れられない手紙の思い出は?

習字をちゃんと習ったことはありません。ただ、父親が字を書くのが好きで、実際上手だったんですね。代書屋になりたいなんて言うくらい。私も幼いころからそのまねをして、草書体なんかも書いていました。それから書くのが好きになったんでしょうね。

 1度、ある方から手紙をいただいたんです。すぐ返事を出す必要のない手紙だったんですが、いつか返事を書きたいと思っていました。それで、2年後に返事を書いたんです。《今、いただいた手紙を読み返しながらこの手紙を書いています。あなたの手紙を励みに今日まで頑張ってきました》というふうに書いたんですね。そしたらすごく喜んでいただいた。手紙はそうやって時空を超えることもありますよね」

【小林幸子さんから・大村崑さんへ/お返事(往復書簡)】

Q3.あなたにとって手紙とは?

「手紙は出して、受け取って、それに返事を書いて投函して、という間の時間も大切。メールなんかではあっという間に届いてすぐ返信となるけど、手紙ではそうはいかない。連絡していない時間にそれぞれの何かを育ててくれる。それが手紙ではないでしょうか」