見た目が9割の時代

 2004年から2005年にかけて「外見力」「魅せる技術」「人は見た目が9割」などのビジネス書籍が刊行され、仕事の現場で「いかに第一印象をよく見せるか」といったビジュアルイメージの大切さが説かれるようになりました。

 これは1999年に男性美容の市場開拓がスタートしてからの流れが、社会通念としても定着してきたことの表れでしょう。草食系男子という言葉の誕生とも相まって、2004年から2005年というのは、今につながる男性の美意識の変化における一つのエポックだったのではないでしょうか。

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外見力はイメージアップのために

 背景の一つとしては、格安オシャレスーツの代名詞となった、ザ・スーツカンパニー(2000年に設立)などが認知され始め、手軽に男性スーツウェアが楽しめる状況になったことも起因しています。

 そういった社会事象のなかで「ビジネス戦略としてのイメージ作り」の重要性が盛んに言われ始めたのです。1990年までは「無精髭」の男性が少なくなかったのですが、2000年以降の社会では、男性の象徴だった髭も「お手入れ」されていなければNGなのです。

ファッションの性差

 ファッションについても、2004年以降で男女の性差がなくなり始めます。スーツブランドの売り場においても、仕事服からファッション寄りになって、いかにスタイルをよく見せるかに変わってきました。

 カジュアルな服装においては、もっと顕著に男女の壁が、シルエット的にも素材的にもなくなってきています。ファッションにおけるボーダーラインがなくなってきた、その始まりもこのころに求めることができるでしょう。

男性美容は世代を超える

 男性における美容への意識は、若い世代ほど高く、年齢が上がるにつれて関心も興味も低くなるという数字が出ています。マクロに見るとそうですが、もっと微細に見ていくと別な側面が見出せます。

 特に2010年を超えたあたりから、草食系男子の美意識の向上が他の年齢層にも影響を与え、スキンケア市場も40代や熟年層にも広がりを見せていきます。