国は除染土を公園の造成など公共事業で再利用する方針だ

 年度ごとの業者変更は、除染の目的とは本来、関係がない。

「私はこまめに村に入っていたから、除染作業を見られたし、注文もつけられた。でも、避難住民はそうはいかない。除染合意書はあるが、厳格な竣工検査は行われないに等しい。まるで“やりました”というアリバイ作りです。誰の、何のための除染なのか」

 山本公一環境相は3月、除染特別地域で行う大規模な除染を「政府目標である平成28年度内に終了できる見込み」とし、市町村除染地域についても「除染作業がおおむね完了の見込み」と話した。

 この発言に福島県のある自治体職員は憤りを隠さない。

「避難していて連絡がつかなかった人が除染したくなったら、どうするのか? そうかけ合ったが平成28年度内でやれ、と。住民の前に立つのは私たちなんですけどね」 

 自治体職員とはいえ、地域住民でもある。被災者同士で分断させられる構図だ。

「元に戻す」のではなく「妥協して我慢させる」

「29年度は基本的に除染しない」という国の方針にのる自治体は多い。だが、除染をしてもやり残しがあったり、除染後に放射線量が再び上がったりする。そこで行われるのが『フォローアップ除染』(2度目の除染)。これは自治体独自に行うのではなく、福島環境再生事務所(環境省)との協議で実施が決まる。

 その基準について、福島環境再生事務所に尋ねると「個人追加被ばく線量の状況や生活環境などを多面的に考慮して、局所的な汚染に対する除染をやるか、やらないかを判断するため、基準はない」との不明瞭な回答。実施件数も尋ねたが、明かさなかった。

 フォローアップ除染が実施されなければ、初回の除染は完了したとの理由で、ホットスポットが放置されることになる。

 実際に郡山市では、住民から市の放射線対策課に「ホットスポットがある」と通報があり、職員が現場で測定をしたものの「周辺よりも高い数値だが、そこに1年間、居続けるわけではない」として除染されなかった。

「元に戻す」のではなく「妥協して我慢させる」考え方だ。

 前出の伊藤さんは日々の積算被ばく量を記録している。飯舘村で野外活動をした日と県外へ出かけた日では、被ばく量が倍から数倍違うと言う。

「除染が終わったと避難指示を解除し、家族が帰還する場合、年齢を問わないので子どもも戻れますよね。除染しても、汚染がない土地の10~20倍の放射線量を受け入れて生活することになる。でも、ほかの地域の子どもはそうではない。おかしいですよね」

『いいたてファーム』周辺は、地表1mで毎時1マイクロシーベルト超の空間放射線量。事故前のおよそ33倍を超えるところが多数あった。