お台場巡業で復活したちゃんこ。横綱や大関をはじめ、にこやかな関取たちの食事風景(撮影/横野レイコ)
お台場巡業で復活したちゃんこ。横綱や大関をはじめ、にこやかな関取たちの食事風景(撮影/横野レイコ)
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21年ぶりに復活させたちゃんこ鍋

 自ら相撲道を極め、相撲を伝え続け、『相撲巡業の楽しみ方』(廣済堂出版)という本を、相撲ジャーナリストの荒井太郎さんとの共著で発売。巡業の楽しみ方、裏方さんの仕事、巡業を開催する主催者の“勧進元”になるハウツーまで紹介する濃密な内容で、これは面白い! 

 勧進元になると「土を9~10トン確保して乾燥させておかなければならない」とか、へ~へ~のボタンを押しまくりたくなるトリビア満載。さすが長年、巡業取材をされてる方ならではの作りだけど、横野さんにとって最も思い出深い巡業というと?

「それは私自身が関わったお台場巡業(今年8月23、24日にお台場で開催。フジテレビが勧進元を務めた)です。私が相撲取材をしてきた中で、やりたかったことすべてができた。

 ひとつは、お台場巡業の反物を作ったこと。当日、力士のみなさんが浴衣にして着て来てくれたのを見たときは、嬉しかったですね。そして一番は、ちゃんこの復活。昔は巡業先でもちゃんこを作って食べていたけど、21年前から消防法の関係で火が使えず、お弁当に変わりました。

 今の現役力士達の中には、巡業でのちゃんこを知らない人も多いので、今回は相撲協会から300人分の大鍋をお借りしてちゃんこを作り、おかずは各一門の代表の力士に来てもらい、メニューを決めて作ってもらいました。大変だったけれど、昭和の巡業のちゃんこ風景を復活させることができて、力士たちにもとっても好評でした」

 大相撲の伝統を復活させたお台場巡業には、ケガで巡業を休んでいた4横綱がそろって出場。夏巡業で初めて4横綱がそろったのも話題になった。

「白鵬に、『巡業で初めて4横綱が揃いましたね』って言ったら、『女の人(横野さん)が1人で頑張ってるんだから、みんなが出ようと思ったんだよ』なんて泣かせることを言ってくれたんです」