6匹の命を奪い動画撮影
目を背けたくなるような映像がネットに投稿されていた。
鳴きながら鉄製のオリの中を逃げ惑う、苦痛に怯えた表情の猫。熱湯を浴びせられ、ガスバーナーで焼かれ黒焦げにされる猫。瀕死の状態で歯を抜かれる猫……。
その様子を撮影している男こそが、動物愛護法違反の罪で8月27日に警視庁保安課に逮捕、東京地検に起訴された埼玉県さいたま市の税理士、大矢誠被告(52)だ。
少なくとも13匹の猫を虐待し、うち6匹の命を奪ったとされる。一部始終を動画撮影、インターネット上の匿名掲示板に投稿してその成果を報告していた。悪趣味を通り越した、猟奇的な行為だ。
虐待の凄惨さは回を追うごとにエスカレート、ネットの闇で動物虐待を喜ぶ連中は、大矢被告を「カルおじ」の愛称で持ち上げていた。
大矢被告を知る人物が、表の顔を説明する。
「20年以上、税務署に勤務すると税理士になれるそうで、5年くらい前に退官したそうです。昨年からは北本市内の税理士の事務所を引き継いでいます。役所に長く勤めていたせいか上から目線で話しますが、勤務態度はまじめで、仕事ぶりも細かく、トラブルもなかったそうです」
さいたま市の大矢被告が住む自宅の近所の女性は、
「マンションの組合の役員をしたり、お子さんとサッカーをしたり、家族思いの普通のおじさんという印象でした」
一見、仕事も家庭も順風満帆に見える人物が、次々と猫を捕まえ命を奪っていった。
猫の惨殺現場になったのは、同県深谷市にある一軒家。大矢被告の母親の実家だ。
古くからの住人は、
「被告のおじにあたる人が住んでいましたが、10年くらい前に他界されて、それ以降は空き家になっていました」
と明かし、事件後に気づいたことを不安げな表情でつけ加えた。