女性週刊誌は僕らにとって大事な情報源

──ところで、『週刊女性』のような女性週刊誌を、読まれることなんてありますか?

 やはり気になりますよね。常に監視されているんじゃないかって。

有馬 ははは(大笑い)。

 それは冗談ですが、女性週刊誌を読んでいる方って、50歳前後の年齢の方が多いそうですが、それって今のテレビのコアの視聴者層と合致するんですよ。だから、電車の中吊り広告やコンビニなどで見かけると、“こういうことに興味があるんだ”って、とても参考になりますよね。

有馬 僕は、母親と姉2人という女系家族で育ってきて、褒めておいて、その2倍突き落とすみたいな女性の本来の姿をたくさん見てきたので(笑)、こういう雑誌もとても女性らしいなって。

 うんうん(笑)。

有馬 コンビニや美容室などで手にすることも多いですね。いろいろな女性らしさが潜んでいる雑誌だと思うので、情報源としては大事ですね。それに、女性誌のものごとのとらえ方は、女系家族で育ったせいか、しっくりくるんです。

──仕事柄、週刊誌の張り込みなどは、やはり気にされているんですか。

 これはもう、こういう仕事にはつきものですよね。NHK時代から、週刊誌には何回も書いていただきましたし、実家にまで取材に来ていただいたこともありましたしね(苦笑)。でも、それも含めて、読んでいる人が“人間ドラマ”を楽しむことができるという意味では、いいんじゃないですかね。

 雑誌やテレビって、本来は“前衛芸術の玉手箱”だったものが、いつの間にか、コンプライアンスとかを気にする“権威主義的”なものになってしまった。でも、本当はもっとドロドロした世界でいいと思うんです。だから、(スキャンダルを報道されたり)そういうことがあっても、いいんじゃないかなって僕は思っていますね。

有馬 僕も、同期とか後輩の女性アナウンサーと集団で歩いていたところを、ツーショットで切り取られて、週刊誌に載ったことがありますよ。“○○女子アナに新しい彼氏”とかって。僕も同じアナウンサーなのに顔にモザイクを入れられて。

 しかも、事実ではなかったという。

有馬 そうですよ!

有馬隼人さん
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──本業以外で苦労が絶えないのも、アナウンサーの宿命なんですね。フリーになって、局アナ時代といちばん変わったのは、どんなところですか?

有馬 テレビ局に所属していたころは、(野球にたとえるなら)いい球が来ても見逃すことが多かったのですが、フリーはすぐに打っていいんだって思えるようになりました。逆に、いい球を見逃さないように、いつでも打てる用意をしていなくてはならないんですけどね。

 ついつい働きすぎてしまうというのも、フリーにとっては問題かもしれないね。フリーになっていちばん変わったことは、やはり健康のことを考えるようになりましたよね。誰も自分の身体は守ってくれませんから。

有馬 確かに、自分で心身をコントロールすることが、これからは大切になりますね。

 僕たちくらいの年齢になると、いつもこういう話で終わっちゃうよね(苦笑)。

<プロフィール>
有馬隼人(ありま・はやと)/1977年10月29日生まれ。広島県出身。関西学院大学でアメリカンフットボールの学生日本一に2度輝く。卒業後、2001年TBSにアナウンサーとして入社、『ブロードキャスター』などを担当。’04年に退社。日本社会人アメリカンフットボールリーグに選手として復帰。’12年シーズンをもって現役引退。現在は指導者としても活躍中

堀潤(ほり・じゅん)/1977年7月9日生まれ。兵庫県出身。立教大学文学部ドイツ文学科卒業後、2001年NHK入局。『ニュースウォッチ9』のレポーターや経済ニュース番組を担当。’13年にNHKを退局。現在は、ジャーナリスト、キャスターとして取材や執筆など多岐にわたり活動中。ニュースサイト「8bitNews」代表