賞金獲得ランキングは?

 日本将棋連盟は毎年12月に『獲得賞金・対局料ベスト10』を発表している。'17年の1位は渡辺明永世二冠(写真)で7534万円。2位は佐藤天彦名人(7255万円)、3位は羽生善治永世七冠(5070万円)だった。なお、講演料や執筆料などは含んでいないので、人によってはもっと稼いでいる!?

ボーナスや年金、退職金などはあるの?

 日本将棋連盟が'11年に公益社団法人化されたことに伴い、厚生年金と社会保険は廃止に。現在、棋士は国民年金、国民健康保険に加入している。また退職金制度ではなく、“功労金制度”という形をとっている。

「かつては“氷代”“餅代”と呼ばれたボーナスもありましたが、現在は将棋の普及活動をすることで支払われています。福利厚生を含めた制度については、時代とともに変化してきた経緯があります。引退後の保障などは課題といえるでしょう」(青野九段)

棋士に引退や定年はある?

 C級2組で成績がふるわなければ“フリークラス”に降格する。フリークラスに在籍する10年間で、規定の成績を収め、C級2組に復帰できなければ引退。また、本人の自由意志によるフリークラスへの転向も認められている。転向宣言によるフリークラス棋士は、原則として65歳が定年。そのほかのフリークラス棋士は60歳が定年だ。

女性のプロ棋士はいないって本当?

 “女流棋士”はいるが、“女性のプロ棋士”はまだ誕生していない。

 女流棋士とは、女性のみの棋戦で戦う棋士。日本将棋連盟所属の現役女流棋士は50人以上いる。一方、先述のとおり、奨励会を突破して四段になれればプロ棋士。実力さえあれば、女性もなれるのだが……。

 女流の6タイトルのうち、5つを持つ里見香奈三段は“最もプロ棋士に近い女性”といわれていた。四段を目指し、先月まで奨励会の三段リーグで戦っていたが、勝ち越せず、年齢制限によって退会が決まった。

「男女で能力差があるとは思いません。ですが、女性の競技人口は圧倒的に少ない。男性に比べ、奨励会内の仲間やライバルが少ないことが精神的心労につながっているのかもしれません……。女性のプロ棋士が誕生し、より将棋界が盛り上がることを期待しています」(青野九段)

棋士のお休みは?

 会社員のように“土日休み”というわけではない。棋士は、対局がなければ、基本的にフリースケジュール。講演や将棋教室の講師など、そのほかの仕事を入れる人もいれば、休日を満喫する人、将棋の研究をする人などさまざま。

「僕の場合は週1局。そして週1日は何かしらのお仕事をしています。そして、対局の前々日くらいからは、ほかの棋士と練習対局をして経験値を積んだり、自宅で対戦相手の研究をしたりしています。なので、その日はお休みとはいえないかもしれませんね」(斎藤慎太郎七段)