本書の面白さのひとつに、長男の金子アーサー和平さんの本音が読めるページがあります。

「息子との共著は初です。いいと思ってやった子育てだけど、本当はどう思っていたか。いまさらですが、わかって興味深かったです」

アグネス・チャンさん 撮影/森田晃博
アグネス・チャンさん 撮影/森田晃博
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 思いがけない感想に驚きもありました。

「『一方通行で子どもの話を聞いてはいけない』という項目があり、これは1日の出来事を子どもから聞くだけではなく、まず親から話すべきだという内容です。私はそうすれば子どもが話しやすいし、絆も強くなると思っていたんですが、長男が《報告義務としてとらえていたので、毎日のテーマを探すことで目的意識を持って行動できた》って書いてくれて。記者さんやライターさんじゃないけど、ネタ探しをして、好奇心を育てていたようなんです。これはうれしい予想外でした」

 和平さんはときに辛辣なことも書いてますが、それが実に絶妙なアクセント。

「優等生の文章じゃ、この企画ページは失敗です。やっぱり本当にどう思ったかを書いてくれなきゃ。そういう意味で長男はいい文章を書いてくれました」

 親子で失敗したなと思うことがたまにはあっても、3人の息子は仲がよく、母をそれぞれ旅行に誘うほど優しい大人に育ちました。

子育ては試練というイメージがありますが、楽しみながらやらなければもったいない。完璧じゃなくていいんです。35個の『べからず』も、家庭ごとに合う・合わないがあります。読者にはこの本をちょっとしたヒントくらいに思い、使ってもらいたいです