2.5次元という枠に自分をはめたくない

 松田さんがオーディションで大抜擢(ばってき)を受けたのは、これが初めてではない。なにしろ初舞台作品のミュージカル『薄桜鬼』で、主役の斎藤一役に選ばれた経験を持っている。

僕の原点ですね。振り返ると悔いはないですけど、反省ばかりが押し寄せてきます。自分が何もできなさすぎて。そのとき共演した仲間とは今でも仲よくさせてもらっているんですけど、あの当時は本当にがむしゃらで、青春でした。新選組という題材で男ばかりだから、熱さとか友情とか、重なる部分もありましたし。

 今回もそうですが、僕は今すぐできる状態ではないのに、できる可能性をくんで選んでいただいた作品が多かった。負荷は多いけど、だから成長できた部分が大きいし“恵まれているな”とすごく思います。僕、“大金星をとる”みたいなのが大好きなんです(笑)

松田凌 撮影/森田晃博
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 “2.5次元”作品での主演も多い松田さん、今回は“東宝ミュージカル”という枠で語られることになりそうだけれど。

「そこは枠ととらえず、僕も素敵な作品の一員になれるんだと、誇らしく思います。ミュージカルは歌うことで心が動くし、訴える力も大きくなりますよね。お客様もそこを楽しみにいらっしゃるんだから、歌はしっかりお届けしたい。僕は今年27歳になりますけど、今まででいちばんのターニングポイントになるのがこの作品だと確信しているんです。稽古(けいこ)を経て本番を迎えてみたら、役者としての価値観が大きく違ったものになっているに違いないと。

 超一流の共演者のみなさんとは経験も違うし、稽古場では失敗も悔しい思いもいっぱいするでしょう。舞台に立てば、僕はシアタークリエの出演者としては異端児という感じになるかもしれません。そこに、僕の価値のようなものを見いだしていただけたらうれしいですね。お芝居だったり、動きだったり、僕の醸し出す空気感がお客様に“あ、こういう人は今までいなかったな”とポジティブに、新鮮に受け止めてもらえれば、と思っています」

<舞台情報>
『シークレット・ガーデン』
 1911年に発表されたバーネットの名作『秘密の花園』をミュージカル化。1991年にブロードウェイで開幕し、トニー賞の脚本賞、装置賞、そして11歳だったメアリー役のデイジー・イーガンが当時、史上最年少で助演女優賞に輝いた。孤児となった少女や孤独な少年の成長物語であると同時に、大人たちがたどる愛の喪失と再生を描いて感動を呼ぶ。出演は石丸幹二さん、花總まりさんほか。6月11日~7月11日 東京・シアタークリエで上演される。以後、神奈川、福岡、兵庫公演あり。

<プロフィール>
まつだ・りょう◎1991年9月13日、兵庫県生まれ。2012年、初舞台のミュージカル『薄桜鬼』-斎藤一篇-で主演を務める。以後、テレビドラマ『仮面ライダー鎧武/ガイム』、『男水!』、映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY』、『ライチ☆光クラブ』、舞台『Messiah メサイア』、『K』、『男水!』、『東京喰種 -トーキョーグール-』などに出演。主演映画『ONLY SILVER FISH』が秋公開、10月~12月には舞台『魔界転生』に出演予定。

(取材・文/若林ゆり)