地元新聞社は写真集を2冊も出版!

 それは2014年9月27日に起こった御嶽山(おんたけさん)の噴火。火口付近に居合わせた登山者ら58名が亡くなり、5名が行方不明のままだ。御嶽山に近い木曽の観光も打撃を受けたし、何より木曽の人たちの心が沈んだ。

 そんな時期に登場した御嶽海には、木曽の人たちの夢と希望が託された。今も「長野県木曽郡上松町出身」と場内アナウンスが流れ、それがTVで放送されるだけで「あれがなんともいえんのだよ。ありがたい。あれが最高なんだよ」と原さんもしみじみ言う。

和田靜香氏の私物。信濃毎日新聞刊の、御嶽海写真集
すべての写真を見る

 長野県の新聞社、信濃毎日新聞もそんな御嶽海を応援しようと、場所中に一面トップはあたりまえ、関取になった、三役になったといえば号外を出し、御嶽海だけギッシリ詰まった写真集も、これまで2冊も出版している。いや、もう、そのページを繰るだけで地元の熱気と愛が伝わってくる。すごい!

 ちなみに優勝したら祝賀会やパレードはやるんですか?と原さんに聞くと、

「優勝パレードとか上松でやりたいけど、これまでそんなことなかったで、やり方がわからんですよ。優勝の瞬間や授与式はパブリック・ビューイングっての? 上松町公民館でみんなでやりたいと思いますけどね」

 と、なんとも素朴な答えに、こちらもなんだか全力で応援したくなる。

 なるほど! こうやって御嶽海応援団、どんどん増殖していくのか! 長野県民パワー、おそるべし。


和田靜香(わだ・しずか)◎音楽ライター/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生などに関するエッセイも多い。主な著書に『ワガママな病人VSつかえない医者』(文春文庫)、『おでんの汁にウツを沈めて〜44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー』(幻冬舎文庫)、『東京ロック・バー物語』『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。