辻さんは来年、小説家デビュー30周年を迎える。『真夜中の子供』は、小説家としての技術をすべて注ぎ込んで書き上げたのだそうだ。

文体にしてもトリックにしても視点にしても、今まで培ってきた技を全部、使い切ったような感覚で、小説家としての集大成ともいえる作品です。純文学の要素が強いもののエンターテイメント色も濃く、ジェットコースターのような小説です。根底に流れているのは、“子どもがいたらみんなで助け合っていきましょうよ。だって、同じ日本人じゃないですか”という思いです。世界中の子どもは地球の子ども、そんなふうにとらえることができれば、もっとみんなが仲よく幸せになれると思うんです

『真夜中の子供』 辻仁成=著(河出書房新社/税込1728円)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
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ライターは見た!著者の素顔

 辻さんは、日本に来ると必ず行く場所があるそうです。「フランスにはコンビニのようなお店はないので、息子とふたりでコンビニ巡りを楽しんでいます。最近、必ず買うのが豆腐そうめんのごまだれ味。あと納豆ですね。コンビニのキムチはおいしいし、カツサンドやから揚げとかも大好きです。ウイスキーなんかも小瓶で売ってて、安くてうまいですよね。ちなみに昨日は298円のニッカのウイスキーを買いました。僕、かなりの庶民派なんです(笑)」

<プロフィール>
つじ・ひとなり◎東京都生まれ。1989年『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞を受賞。作家・詩人・ミュージシャン・映画監督と幅広いジャンルで活躍している。1997年『海峡の光』で第116回芥川賞、1999年『白仏』のフランス語版Le Bouddha blanc でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を受賞。『日付変更線』『エッグマン』『立ち直る力』など著書多数。

(取材・文/熊谷あづさ)