福田雄一さんとは何度でも組みたい

 さらに、演出と上演台本を手がけるのが、映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズなどでコメディーの名手として名高い福田雄一さんだということも期待値の上がる要因だ。

柿澤勇人 撮影/伊藤和幸

福田さんとは何度か仕事をさせていただいていますが、今回は“カッキー、今度ミュージカルを山田くんと一緒にやってもらうから”といきなり言われて(笑)。“え、山田くんって誰のことですか?”って聞いたら“山田孝之だよ”って言うから“おおー! やったー、山田くんとできるんだ!”というのが最初のインパクトでした(笑)。

 福田さんは、一緒にやる役者のいいところを熟知していて、そこを脚本のうえでうまく引き出してくれます。自由にやらせてくれますが笑いにはシビアで、面白くないと“カッキー、それはやめとこうか”ってサラッと却下されますけど(笑)。でも、だからこそ福田さんの周りに人が集まるし、“また一緒にやりたい”というふうに愛されているんじゃないかな」

 山田さんとは、福田さん脚本・監督の『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』第8話で、同じ女性を愛した男同士という役柄で共演したことがある。ミュージカル調の歌対決も経験ずみだけれど、そのときの思い出は?

「ゲストなので数日間の撮影だったんですが、ある日の撮影が終わったときにCDを渡されて“はい、これ明日までに覚えてきてください”って言われたんですよ。だからホテルに帰ってからも夜中までひたすらそれを聴いて、練習して。眠い目をこすりながらの現場でした。余裕がなくて、山田くんともあまり深い話はできなかったんです。歌も音録りは別でしたし。今回はそれに比べたら余裕はずーっとあるはずですし、舞台上でデュエットを歌えるので、楽しみでしかたないですね」

 この作品の前には、大作『メリー・ポピンズ』のバート役で「苦手意識が強かった」ダンスにも果敢に挑戦。俳優として大きく成長を遂げた柿澤さんが、今、目指す“理想”とは?

舞台も映像も全部やりたいし、全部で結果を残したい。その両方で生き生きしていたいんです。僕らは映画界、ミュージカル界、演劇界とかでどうしてもくくられがちですけど、“なんで隔てちゃうのかな?”と思います。“映画俳優もミュージカル俳優も、俳優でしょ? どっちもやるよ”と思うんですが、なかなか垣根を越えるのは難しくて。

 福田さんは両方で活躍していますよね。彼が垣根を壊すから、山田くんがミュージカルに出てくれるわけで、そういう機会がもっと増えたらいいですね。『シティ・オブ・エンジェルズ』も、“劇場に足を運ぶのは初めて”という人がきっとたくさんいらっしゃる。そういう人たちに楽しんでもらって“誰、あの柿澤って?”と思わせたら勝ちだと思うんです。そこからまた次の出演作に来てくださるかもしれないし、僕が映像に出る機会が増えるかもしれない。両方で楽しんでもらえるようになるのが、俳優としての理想だと思っています」

<作品情報>
『シティ・オブ・エンジェルズ』
『トッツィー』のラリー・ゲルバートが脚本、『スウィート・チャリティ』のサイ・コールマンが作曲を手がけ、トニー賞で最優秀作品賞など6部門に輝いたミュージカル・コメディー。’40年代のハリウッドで成功を目指す作家のスタインと、彼が執筆中のハードボイルド作品におけるヒーロー、探偵ストーンの世界が混じり合う。ジャズのカッコいいナンバーがたくさん聴けることも魅力だ。9月1日~17日 東京・新国立劇場 中劇場で、9月27日~30日 大阪・新歌舞伎座で上演される。

<プロフィール>
かきざわ・はやと◎1987年10月12日、神奈川県生まれ。サッカー少年だった高校生のとき『ライオンキング』を見て俳優を目指し、’07年、劇団四季に入団。『春のめざめ』などを経て退団後は、舞台・テレビ・映画と幅広く活躍。主な出演作に舞台『ロミオ&ジュリエット』、『デスノート The Musical』、映画『猫は抱くもの』など。12月には東京芸術劇場にて、’11年の初演から6度目の『スリル・ミー』に出演する。

<取材・文/若林ゆり>