振り返ることってあまりない

 実は、弟のために書いたというこの曲のエピソードを思い出させてくれたのは夫人だったそう。

「“忘れたの?”って言われて、そういえば、そうかもって(笑)。かみさんのほうが、よく覚えてる」

 その夫人について語った、笑福亭鶴瓶がホストを務める『チマタの噺』(テレビ東京)に出演した際のトークが話題になった。

うちのかみさんは、チェッカーズを組む前のバンドのころから(自分を)知っているわけ。コンテストで勝ち抜いて全国大会に行ってデビューを勝ち取ったときも、チェッカーズという名前でデビューするときも知ってる。ずっと“オレは運がよかったんだな”と思ってたけど、“いや待てよ。ひょっとして運がいいのは、オレじゃなくて……”と話をしたら、鶴瓶師匠もそうなの。

 師匠も、笑福亭になる前の学生のころからお付き合いをしていて、“それ、オレも思ったことあんねん”って(笑)。

 これには後日談があって、番組を見ながら奥さんが旦那さんの肩を叩いて“ほら”って言ってる夫婦が何組かいたって(笑)。奥さんがそう言える夫婦は円満だねって話。うちのかみさんは、どうなんだろう? “私がラッキーだから”とかは思ってないかも」

藤井フミヤ 撮影/森田晃博
すべての写真を見る

 夫人と同じように、どんなときも藤井フミヤの隣に寄り添ってきたのは“歌”だ。「過去を振り返るのは得意ではない」と語ったこともあったが、改めて、デビューからを思い起こしてもらうと、

この25年とか、35年を振り返ることって、あまりないし、記憶がない(笑)。ほとんど忘れてる。特にチェッカーズのころの10年なんて、メンバーと会って話をすると“えっ、そんなことあった?”って(笑)。忙しすぎたっていうのもあると思う。

 意外とうれしかったこととかって忘れるよね。いや、さすがに子どもが生まれたときのこととかは、覚えてるよ。なんとなく楽しかったことは、ことごとく忘れていく。嫌なことは思い出すけどね。でも、現状がよければ、悪いことも勉強になったというか、糧になったと思う。もし、現状が悪かったら、恨むこともあるだろうけど。すべては今のためにあったんだと思う」