ソロになった時点でなにをしてもよかった

 ロックバンドとして世に出るはずが、アイドルとしてデビュー。本人いわく「チェックの衣装が女の子の人気に火をつけた」と、想像以上の歓声を浴びたチェッカーズでの10年を経て、ソロに。

不思議と不安なんてなかった。すがすがしい気持ち。バンドが解散するって大変なのよ。2人組でも話をまとめるのが大変なのに、7人もいたからね。

 ソロになった時点で、ゼロだった。レコード会社もない、所属するプロダクションもない。オレ何屋さんになってもよかったの。ただ、歌を歌うんだろうなという気持ちはあったけど

 本格的なソロ活動をスタートさせた1曲目が、『TRUE LOVE』。石田ひかり、筒井道隆、木村拓哉、鈴木杏樹、西島秀俊らが出演し大ヒットしたドラマ『あすなろ白書』の主題歌だ。

ありがたい、ラッキーな曲。ソロ1曲目で代表曲ができちゃった。いまオレが死んでもワイドショーで『涙のリクエスト』は流れない、『TRUE LOVE』だよね。一生、歌っていく曲だと思う。一時は、歌いすぎて封印しようかと思ったくらいだけど、今はもう、国民が歌える曲にしてやれって(笑)。『TRUE LOVE』の『上を向いて歩こう』(にしていこう)計画っていうのが俺の中にあるんだよね

藤井フミヤ 撮影/森田晃博
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 すでに国民的ソングになっているともいえる名曲を生み出した藤井フミヤに聞いた、歌うこととは?

「歌がなくても、生活していける。衣食住があったうえにプラスされるものだから。でも、歌ってすごいパワーを持っている。恋をしているときも、失恋したときも歌がある。孤独なときも歌がある。歌って、都合のいい道具かもしれない。寂しいときは、寄り添ってくれるし、勝負に勝つぞっていうときは士気を高めてくれる。なんて言うのかな、それぞれの感情に寄り添う道具というか。そういうふうに寄り添えるような、時代の大衆とともにあるような曲を作って、歌えるように頑張りたいと思います

 9月からは、ソロ活動をスタートさせてから1年も欠かすことなく続けているツアーがスタートする。題して『藤井フミヤ 35th ANNIVERSARY TOUR 2018 “35 Years of Love”』。

「今回は、ベスト盤からソロ曲と、尚之が参加するからチェッカーズと、F-BLOODの曲をまぜこぜにして、いいとこ取りのライブになると思います。パフォーマンスはいつもその場のノリだけど、比較的激しいライブが多いんだよね。だから、ツアーが始まるときれいな身体になるのよ。コンサートがトレーニングみたいな。若いときみたいにライブで脱いだりはしないけどね(笑)。いつまでこんなに動けるかなとは思ってるけど。

 ずっとツアーを続けていることが健康維持の秘訣になってる。世界の歌を追い求めるみたいな番組を見たときに、90歳くらいの農夫のおじいさんがえらくいい声で歌ってるの。それを見たときに“歌えるんだ、(そこまで)いけるかも”と思って。科学とか医学の力を借りてもいいし(笑)、渋い爺さんになって歌っていたいね

 5年後も、10年後も。きっと、その先も。