不用意な「置屋の女将」発言の裏にあるもの

 芸者や娼妓の世界と言えば、宮尾登美子センセイの独壇場ですが、代表作の一つ『陽暉楼』(文春文庫)を読むと、置屋の女将はカネのために、嫌がる芸者に無理やり客を取らせるのが当然のこととして描かれています。「置屋の女将」は、「自分の利益のために、性接待をさせることも辞さない」存在でもあるのです。このような言葉を不用意に使ってしまうのは、ユミコがずっとオジサン的な視線で、物を見てきたからではないでしょうか。置屋の女将はオジサンから見れば、カネを握らすと芸者をあてがってくれる便利な存在なのですから。

 後輩の女性キャスターにしても、先輩が自虐をしていたら返答に困るでしょうし、長く働き続けたい女性ほど、自虐が受ける風景を見たら、年を取ることが怖くなるでしょう。ユミコの自虐を面白いと思っているのはオジサンだけで、女性は誰もトクをしないのです。

 ユミコはNHKを退職する際、今後はジャーナリストとして活動するという趣旨のコメントを出しています。社会の不平等や不正にメスをいれるべき存在が、女性を貶めるオジサン目線というのは、いかがなものか。

『NEWS ZERO』は「日本を良くするために」というテーマで始まった番組だそうです。女性がニュースのメインキャスターとなるのが珍しい日本で、来年50歳を迎えるユミコが堂々とキャスターを務めることは若い女性に大きな希望を与えることになり、ひいては「日本を良くすること」につながっていくと私は思います。

 だからこそ、もう余計な自虐はしないでほしい。十分な知名度もキャリアもあるのに、いつまでもオジサンにかわいがられないといけないと信じているとしたら、未成熟という意味でヤバい女ではないでしょうか。

 ユミコのヤバさがどう変化するのか見極めるために、私は毎日『NEWS ZERO』を見たいと思います。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。他に、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。