9月11日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)に生出演した塚原光男副会長が『2020』についても話した。

 だが、この発言を「間違いだらけだ」と厳しく指摘するのは、バルセロナ五輪・銀メダリストの池谷幸雄氏。彼が体操関係者に確認すると、現場からはこんな声があがってきた。

「光男氏は『2020』にはトップ選手はみんな入っていると言っていましたが、実際はナショナル、ジュニアナショナル選手の半分くらいしか入っていません。宮川選手だけが拒否していたかのような言い方はおかしい。

 『2020』自体が年間を通した合宿を行っている実態がないし、強化内容もよくわからない。納得できるプロジェクトではなかったので、入ることに不安を感じた選手やコーチも多かったはずです」(現役の体操クラブコーチ)

 宮川紗江選手は『2020』コーチ陣のほとんどが朝日生命関係者なので、入ると引き抜かれるのではないかと恐怖を感じたと話していた。これに対して、光男氏は「朝日生命のコーチは11人中3人しかいない」と反論したが、

「『2020』のコーチには朝日生命関係者が6人います。その中の2人はJOCの専任コーチでもある。3人という数字にどんな根拠があるのかまったくわかりません」(前出・体操クラブコーチ)

 光男氏は『2020』の強化内容に関しては、コーチたちと話し合って決めているとも述べていた。

話し合いなんてないですよ。ほとんどのことは、知らない間に決まっています。意見を言えば、協会に“協力的ではない”というレッテルを貼られるだけですから。私たちは塚原夫妻と意見を言い合えるような立場ではないんです」(体操協会関係者)

パワハラ新証言も

 千恵子強化本部長のパワハラについても、新たな証言が出てきた。

「『2020』のトライアウトを受けるには年齢制限があります。うちの選手ははずれていたので受ける権利がないのはしかたがないと思います。

 でもナショナル選手なのにNTCの利用時間に制限がかかるのは納得できません。抗議しましたが、とりあってくれませんでした。それなのに、うちの選手より下の成績の選手がNTCの利用で優遇されています。

 結局、千恵子先生のお気に入りにならなければダメなんです。紗江ちゃんとは違う形でいろいろな選手がパワハラを受けているんですよ」(別の体操クラブコーチ)

 光男氏は、宮川選手が強化合宿から「世界選手権、頑張るんだ!」と元気に帰っていったから、私たちが逆告発されるのは想定外だったとも話していたが、

合宿から帰ってきたときの紗江ちゃんは、今までに見たことのないような顔をしていたそうですよ。選手の気持ちとか表情とかがわからない人たちなんですかね……」(前出・体操クラブコーチ)

 9月7日に第三者委員会が設立されたが、真相解明にはまだ時間がかかる。日本体操協会は10日に会見を開き、調査が終わるまで光男副会長と千恵子強化本部長の職務を一時停止すると発表した。

 選手たちがのびのびと競技に打ち込める日は、いったいいつになるのだろうか─。東京五輪まであと2年。体操界は“選手ファースト”を徹底してほしいものだ。