燃える男性を引きずって

「現場の部屋には3年ほど前に引っ越してきて、最初は友人男性とルームシェアしていました。ときどき部屋でセリフの練習をしたりして、楽しそうにやっていましたよ。でも、女性と暮らすようになってから芝居の稽古に身が入らなくなってしまった」(同男性)

 女性と知り合った経緯はわかっていない。

役者だった東樹さん。写真は2016年に撮影されたもの(所属劇団のホームページより)

 東さんを知る演劇関係者は、無理心中を図るような要因について「全く心当たりがないだけにショック」と話す。

「舞台や映像で表現したいことがあったようで一緒に飲むと夢を熱く語るタイプ。反面、言いたいことがあっても言えずにため込むなど難しい性格でもあった。

 思い詰めやすく直情的なため、所属事務所を突然辞めて迷惑をかけたことがある。根は気さくでいいやつなんだけど」(同関係者)

 火災当日、東さん宅前には中年女性の姿があった。119番通報した近所の主婦が振り返る。

「通報後にアパートに駆けつけると、中年女性が玄関のドアを強く叩き“中に人がいるんです!”と叫んでいる。しかし、カギがかかっていて開かなかった。突然ドアが少しだけ開きました。

 中の女性が燃える男性を引きずって玄関までたどり着き、自力でカギを開けたんです。まだチェーンキーがかかっていたため外からねじ切り、2人を部屋の外に出しました。男性の身体は焼けただれて硬直し動きませんでしたが、女性は意識がありました」(同主婦)

 女性を病院に搬送後、中年女性はアパートの前で同年配の男性と寄り添い泣きじゃくっていたという。

「中年女性と中年男性は女性の親族のようで、すぐ駆けつけられたのは女性が危険を察知し連絡していたからかもしれません」(同)

 女性の回復を願うばかりだ。