僕のピッチでありフィールド

川平慈英 撮影/佐藤靖彦
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 いままでにないミュージカルを作ろうという現場には「生みの苦しみと楽しさ」がいっぱいだ。

「“相当、実験的なことをやってるな”という実感はありますね。だから薄氷の上を歩くような怖さもあるんです。“これ本当にウケるのかなぁ”って。

 でも、三谷さんは永遠の演劇アイデア少年だから、僕らの稽古を見て、突然いろいろぶっ込んできています。

 目をキラキラさせて“ジェイさんそこ、こうやってみて” “えっ!?”みたいなね。誰にも言わずにやらせるから、みんな“えっ!”ってなる(笑)。

 幕が開いたときにどうなっているのか、まったくわからない。だからこそ楽しさが格別なんですよ。顔合わせの日に、音楽の荻野清子さんが言ったんです。“このミュージカルが新しい日本の歴史になればいいな”って。

 僕が“清子ちゃん、ナイスなコメント、そうとう家で考えてきたな”って言ったら、“そんなこと言うな”ってみんなに怒られましたけど(笑)。

 日本ミュージカル史の、エポックメーキングにしなきゃいけないと思ってます

 この作品が、106本目の舞台作品になるという川平さん。「俳優・川平慈英の歴史にも深く刻んでいかないとね」と意気込む。

「テレビの影響は大きいから、僕をサッカーの人とかタレントって認識している人も多いと思います。でも最後は俳優として、日本演劇史の1ページに川平慈英という名前を刻みたいんです。

 僕にとってミュージカルは、なくてはならない元気の源。いちばんの喜びを感じるし、お客さんとの交流ができる。僕が僕であることをいちばん実証できる、最高のツール僕のピッチでありフィールドなんです

 だから今回も、そこでめいっぱい輝きたい。そして70歳か80歳になったとき“この作品で歴史を作ったね”なんて、仲間たちと同じ老人ホームで、お茶をすすりながら語れたらいいなぁ」

ミュージカル『日本の歴史』

■ミュージカル『日本の歴史』
 演劇界および映画界の奇才と呼ばれる脚本家・演出家の三谷幸喜が、古代から太平洋戦争までの1700年を舞台に紡ぐオリジナル・ミュージカル。この作品で中井貴一が初めてミュージカルに挑戦! そのほか、香取慎吾、川平慈英、シルビア・グラブ、新納慎也、秋元才加、宮澤エマという最強の7人が50人以上の人物に扮し、ミュージカルの常識を覆す!? 12月4日~28日 世田谷パブリックシアターにて、2019年1月6日~13日 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。当日券あり。
公式サイト http://www.siscompany.com/mitani/

PROFILE
かびら・じえい●1962年9月23日、沖縄県生まれ。大学在学中にミュージカルで俳優デビュー。歌・ダンス・芝居と三拍子そろった実力で舞台を中心に活躍しながら、サッカーキャスターとしても人気者に。出演作に舞台『雨に唄えば』『Shoes On!』シリーズ、『オケピ!』『趣味の部屋』など。テレビ『ちりとてちん』『表参道高校合唱部!』『コレナンデ商会』など。映画『THE 有頂天ホテル』『手をつないでかえろうよ』など。来年11月には'17年に大好評を博した主演ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が再演予定。

(取材・文/若林ゆり)