亡くなった山田容子さん(75)の元気な姿は、近隣住民に頻繁に目撃されていた。

「私が休日に外に出ると、山田さんが庭を掃いたり、草むしりをしている姿をよく見ましたね」

 そう振り返るのは、同じ町内に住む30代の女性だ。軽快な身なりでトレーニングジムに通う姿も時折、見かけたというが、あるころからプツリと山田さんの姿が消えた。

 前出の30代女性は、近所の住民から山田さんの消息に関する情報を聞いたことがある、と話を続ける。

「近くに住む方がね、最近、山田さんを見かけなかったので、偶然会った息子さんに様子を聞いたらしいんです。そうしたら“ちょっとね……”とか歯切れ悪くごまかされたようで、あとからニュースで知り、びっくりしたって言ってました」

 そのニュースとは、「九十九里バラバラ女性遺体事件」のこと。警察発表などによれば、複数の刃物で切断されたとみられる遺体は、九十九里浜一帯で見つかった。

釣った魚はリリース

 9月29日に、大網白里市の堀川河口付近で性別・年齢不詳の身元不明遺体の胴体部分、10月2日に九十九里町の片貝海岸で頭部、同日白子町の浜宿海岸で右脚、同8日に九十九里町の片貝漁港で左脚、という具合に発見された遺体のDNA型は鑑定の結果すべて一致。歯型などから、千葉県八街市の無職・山田容子さんと特定された。

 左脚が発見された片貝漁港に居合わせた男性釣り客は、

「海に浮かんでいる遺体の一部を見ました。ふやけてちょっと膨らんだような脚でしたね」

 一帯は人気の釣り場で、遺体発見時刻は午後5時過ぎ。多くの釣り人が現場を取り囲み、騒然となったという。