年々増加!? 高齢者うつとは

 年齢を重ね精神的に安定するイメージがある一方、意外と多いのが高齢者のうつ病。高齢者のうつ病有病率は人口の13.5%といわれ実はうつ病は認知症と並んで高齢者によくみられる病気のひとつ。

 高齢者のうつ病は、体力や気力の衰え、健康への不安、親しい人との死別、ひとり暮らしの孤独感など、さまざまな喪失体験が原因になりやすいことが知られており、抑うつ気分のような精神症状よりも耳鳴り、めまい、ふらつき、頭痛といった身体の症状が現れるのが特徴的。「物忘れが増えた」と訴えることもあるため認知症と間違われたり、「年だからしかたがない」と放置し、重症化することがあるため注意が必要です。

■高齢者うつに陥る原因
・することがなくなり寝てばかり
・配偶者が亡くなって孤独
・家計や身体に関する強い不安があるなど
・趣味をする気力がなくなってくる
・子どもの独立で張り合いをなくす
 さまざまな喪失体験がきっかけに。しかし主に身体の痛みや不調を訴えることが多いため、見過ごされてしまいがち。

<プロフィール>
奥田弘美さん
精神科医、産業医(精神保健指定医)、作家、日本マインドフルネス普及協会代表理事。精神科医と18か所の企業の嘱託産業医を務めながら、作家として執筆活動も行う。マインドフルネス瞑想の普及活動もライフワークとしている。著書に『ストレス・疲れがみるみる消える! 1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジネントセンター)など。

(取材・文/當間優子)