最後に、たくさん回った駅ラーメン店から、鈴木さんのベスト3を選んでいただいた。

「まずは、横浜駅の『中華一 龍王』です。正統派の中華そばで、しょうゆスープに深みがあります。日替わりや週替わりのメニューがあり、安く食べられるのもいいです。店の雰囲気も気楽で、居心地がいいです

 次は、北海道のJR釧網本線・止別駅の『ラーメンきっさ えきばしゃ』です。ここの“ツーラーメン”がおすすめ。

 刻みチャーシューと白髪ねぎをトッピングした塩ラーメンで、時間をかけてじっくり煮るためにスープが赤っぽくなっています

 最後は、佐世保駅『香蘭』の長崎ちゃんぽんです。カウンター席から、山盛りの具材を豪快に炒める様子を見ることができます。

 この店の向かいには『大善』というちゃんぽん屋もあるので、はしごして食べ比べもできます(笑)」

 旅に出かけるときには、バッグに忍ばせておきたい最強のガイドブックだ。

ライターは見た! 著者の素顔

 駅そば・駅ラーメンの取材では、スープまで飲み干すことをルールにしているという鈴木さん。

最後の1滴まで飲んでどう感じたかを書きたいんです」。

 そのかわり、健康維持のために、いつも歩いているそうです。

「今日も自宅まで3時間歩いて帰りますよ。ほかにも野球観戦、釣り、荷物梱包用のPPバンドを使っての工作と趣味は多いです。また、小説を書いていた時期もあります。1日でいちばん楽しい時間は、ホームページを更新しているときです」

『全国「駅ラーメン」探訪』
鈴木弘毅=著
交通新聞社新書 864円(税込)
※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
PROFILE●すずき・ひろき 1973年、埼玉県生まれ。駅そば、道の駅、スーパー、日帰り温泉など旅にまつわるさまざまなB級要素を研究する「旅のスピンオフ・ライター」。著書に『駅そば 東西食べくらべ100』『駅ナカ、駅マエ、駅チカ温泉』『全国駅そば名店100選』『愛しの富士そば』など

(取材・文/南陀楼綾繁)