容疑者の“報復”は死刑制度とは関係のない第三者に向けられた。竹下通りのブティックで働く男性スタッフは、

「犯行の4時間前まで店にいたので背筋の凍る思い。車でテロなんて、秋葉原無差別殺傷事件を思い出した」

 と話す。

にぎやかな竹下通りも午後10時には閑散として
にぎやかな竹下通りも午後10時には閑散として
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 '08年6月の日曜、東京・秋葉原の歩行者天国に加藤智大死刑囚(当時25)が運転するレンタカーのトラックが赤信号を無視して突っ込み、次々に歩行者をはねたうえ、ダガーナイフで刺すなどして男女7人が死亡、10人が重軽傷を負った。

 当日、携帯サイトで「秋葉原で人を殺します」などと犯行予告していた。

 一方、日下部容疑者は全国的に有名な竹下通りを狙った。12月31日午後10時から車両通行止めになっており、そもそも車の進入路は一方通行違反。犯行に使ったのは軽乗用車のレンタカーだった。

 犯罪心理学者で東京未来大学こども心理学部長の出口保行教授は、

「無差別攻撃という点では秋葉原事件と変わりません。社会の耳目が集まる場所、タイミングで犯行におよんでいることから、容疑者にとっては注目されることがいちばん大事だったとみられます。

 死刑執行に関する犯行だという供述をしているようですが、背景に政治・思想的な理由があるとは思えない。社会に自分の力を誇示したかったのではないか」

 と行動心理を読む。

 インターネットの巨大掲示板『2ちゃんねる』では、犯行の約11時間前に書き込まれた記述が話題だ。

『今日明日は渋谷に行かないほうがいいよ』と題したスレッド(タイトル)で、「詳しくは言えないけど一応」とコメントしている人物がおり、容疑者による犯行予告ではないかと取りざたされている。

 ただし、容疑者が書いたものかどうかはわかっていない。