“親孝行”の意味がわかりすぎた80年代生まれ

 そう、私は別に、芸能生活から引退した滝沢秀明さんの熱心なファンというわけではなかったのです。

 ただそんな私が、2018年末にかけてテレビ各局で展開された滝沢秀明引退特番を全部チェックしていた大きな理由は、滝沢さんと同じ80年代生まれだったから。

 そしてその中でも特に記憶に残っていたのは、12月28日に放送された『中居正広のキンスマスペシャル』(TBS系)の内容です。

 主演舞台の『滝沢歌舞伎』も好評で順風満帆なタレント人生を歩んでいた滝沢さんが、番組内でなぜここで芸能界からの引退を決めたのかと聞かれ、はっきりとこう答えました。

「ファンの方には本当に申し訳ないんですけど、みなさんがやる普通の“親孝行”を、僕はジャニーさんにしたい」

 そのひと言が深く心に落ちたのは、私自身もまた、ちょうど昨年末に親が体調を崩し、一日がかりの大きな手術を受けていたということがあったからでしょう。

 30代というのは、親の老いをこれまでになく実感していく、そんな時期なのかもしれません。いつしか年を重ねていた親のいろんな出来事、またそこに見える姿を通じて、きっと誰もが、これからの“親孝行”について改めて考える機会が巡ってきます。

 番組内では、幼い頃に実父と別れた滝沢さんにとって、ジャニーさんはいつからか父親代わりの大切な存在になっていたということも語られていました。

 そんなジャニーさんは今年、88歳になります。年齢を考えればなおさら、あの引退劇がまったく未練のない決断であったことは、同じ世代だからこそ、実感とともに強く響くものがありました。

 “30代のリアリティ”

 滝沢さんを筆頭に現在の嵐、関ジャニ∞など80年代生まれのアイドルを数多く輩出した、いわゆる“ジャニーズJr黄金期”。10代前半の未デビュー組が主役級の注目を一斉に浴びるという、それはジャニーズ史においてもかなり貴重な時代でした。

 そしてコンサートやテレビで表現されていた、当時の彼らの未熟さはある意味、まだ社会のことを何も知らない80年代生まれの幼さ、そのものでもあったように思います。

 そのように、同世代の人生とも密接に結びついていた彼らが20年後、テレビでもう一度歌った青春の歌。