テレビ番組も多くのヒットに恵まれた。ドラマでは『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)が放送を開始。バラエティー番組では『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)が高視聴率を記録。

 そして、もっとも話題をさらったのが、さくらももこ原作のアニメ『ちびまる子ちゃん』がフジテレビで放送を開始したことだ。

 “平成のサザエさん”と呼ばれ、最高視聴率39%台を叩き出し、主題歌だった『おどるポンポコリン』(B.B.クィーンズ)も160万枚を超える大ヒットとなった。

平成とともに生きた国民的マンガ

「ちびまる子ちゃん人気はすさまじく、連載されていた漫画は単行本が累計3000万部を超え、この年の関連商品の売り上げは100億円を超えました。その勢いは衰えず、翌年には700億円まで伸び続けたというから、人気のすごさがうかがえます」

 というのは、テレビ誌編集者。「ちびまる子ちゃん(現象)」は、この年の新語・流行語大賞の金賞を受賞し、主題歌を歌うB.B.クィーンズは、NHK紅白歌合戦に初出場を果たす。

「NHKが紅白で他局の主題を歌うことを許可するなんて、当時は珍しい出来事でした。あれだけ国民に浸透している曲ともなれば、無視できなかったのでしょう。これを機に、他局の話題やキャラ、番組主題歌を紅白でも取り入れるきっかけになったわけです(前出・テレビ誌編集者)

 そんな国民的アニメとなった『ちびまる子ちゃん』の作者である、さくらももこさんは、昨年8月、乳がんのため53歳という若さで逝去。

「実は今、さくらさんの出身地である静岡県内で、“さくらももこ記念館”の誘致合戦が始まっているんです。“長谷川町子先生につぐ功績のあるさくらももこさんの施設を!”と、いろいろな自治体が遺族にプロモーションをかけているようです」(地方紙記者)

 意外なことに、さくらももこ記念館や美術館などは、まだ存在していない。静岡市清水区にある『ちびまる子ちゃんランド』は、サッカー球団エスパルスの親会社が運営しているテーマパークであり、清水港の開港100周年を記念してオープンした複合商業施設内にある。

「静岡市は、さくらさんから下水道のマンホールのふたを寄贈されたこともあり、記念館の誘致をアピールしているようです。観光収益の目玉として、県内各地の自治体でプロジェクトが進行しています。どの自治体になるのかはまだわかりませんが、一周忌を目処に最終的なジャッジが出るのではと言われています」(前出・地方紙記者)

 平成2年、日本中に『ちびまる子ちゃん』現象を起こしたさくらももこさんは、平成が終わりを迎えようとしている30年に逝去された。まさに平成とともに生きた国民的マンガとなった。

 しかし、『ちびまる子ちゃん』そして未来の『さくらももこ美術館』は、時代を超えて生きていくだろう。

<取材・文/宮崎浩>