「当時、ご一緒させていただいていた監督さんやカメラマンさんが今の現場にもいらっしゃって。“あのときはああだったね”など、当時のことをお話しする機会もあって、『ゲゲゲの女房』がひとりひとりの思い出に残っていることが、すごくうれしかったです」

また画家の妻をやっているなと

 現在放送中の連続テレビ小説『まんぷく』で、香田克子を演じている松下奈緒(34)。朝ドラには、自身がヒロインを務めた『ゲゲゲの女房』(2010年放送)以来の出演だ。

「今回は画家の妻をやっているなと(笑)。忠彦さんは漫画を描かないのに、セリフで“私は画家の妻なので”という部分を、間違えて“私は漫画家の妻なので”と無意識に言ってしまったことがあって

 9年前のことをリフレインする瞬間が、ふとしたときにありました」

 今作でヒロイン・立花福子を演じている安藤サクラは、ヒロイン経験者である松下を“神社のような存在”と、独特の表現で表していたが、

「撮る量がすごく多いので、『ゲゲゲの~』のとき私は“月曜はピンク、火曜は黄色”など、曜日ごとに付箋の色を変えて貼って、終わった日からどんどん剥がしていくのが心地よかったという話をしたら、サクラちゃんの台本が付箋だらけになっていて(笑)

 でもヒロインって、朝から晩まで撮影があって、大変なはずなのにサクラちゃんはすごく楽しそうで。その姿を見ていて“すごいなーサクラちゃん。私はあのとき、撮影のことで頭がいっぱいだったな”と」

 しかし、朝ドラでの経験があったからこそ、自分の中にも大きな変化が訪れたと話す。

長い撮影期間の中で約10か月間、同じ役を演じきったんだという、自信を私に持たせてくれたのが朝ドラなんです役に対してどれだけ愛情をかけられるか、そうすることで、自分と役の境界線がなくなる心地よさを改めて教えてくれました

 つらく大変なこともあるかもしれないけど、演じきった先にあるものが朝ドラを通じてわかっているからこそ、少し心の余裕を持って、いろいろな役にトライできるようになったと思っています」

関西弁でお芝居するのは初めて!

 今作で演じる克子は、松下自身にとっても新鮮な役だったそう。

「兵庫出身ですが、関西弁でお芝居をさせていただくのは初めてで、これまでに多くの役を演じてきましたが、克子ほど自由で、自分の意思を貫き通す女性を演じたことが、今まではなかったように思います。

 言い方、聞こえ方がキツくならないよう、語尾に特に注意しながら関西弁でのお芝居を意識していて、今ではお芝居のとき以外でも関西弁が出てしまうことも。改めて“あ、やっぱり私って関西の人だな”と実感しました」