いまでは出産後も仕事を続ける女性アナウンサーは増え続け、“ママ・アナ”は珍しくなくなった。

女性アナウンサーも多様化している

 小島さんが“歴史的転換”と注目するのは、MeToo運動と連動してセクハラ事件などが一昨年から盛んに報じられるようになったことだ。財務省の福田淳一事務次官(当時)による、テレビ朝日の女性記者へのセクハラ発言が報じられると、多くの女性アナが声を上げた。

「局アナは、予定調和的に振る舞わなくてはいけない、企業(テレビ局)の看板娘。にもかかわらず、フジテレビの山崎夕貴さん、テレビ朝日の宇賀なつみさん、小川彩佳さんなど若い女性たちが、セクハラはいけないと意見を言いました。勇気のいることですし、支持する声も多かったですね。

 その様子を目にして、思いました。“本当に、女子アナは死んだ”と。男性に光を当ててもらい、特別扱いされるのがステータスだった女子アナというコンテンツは、平成のブームからちょうど30年たって、賞味期限が切れました。くしくも“30歳定年説”と同じ30年で。

 もちろん、アイドル路線の女性アナウンサーはみんな滅んでしまえ、とは思いません。幅があっていい。この30年で社会が変わり、社会における女性の役割が変化したように、女性アナウンサーも多様化しているのだと思います


《PROFILE》
小島慶子 ◎1972年生まれ。学習院大学卒業後、平成7年にTBS入社。アナウンサーとして活動。平成22年に独立。タレント、エッセイストとして多方向で活躍。東京大学大学院情報学環客員研究員。