もっと自分を解放させて──

 役者、映画監督のほか、宇宙人や芸人に扮するなど、巷(ちまた)では“仕事を選ばない男”と言われる斎藤。その真意とは?

僕は映画ファンとして、自分に対して素材としての魅力をまったく感じていないんです、いまだに。自分が思う自分って、たかが知れてるんですが、他者が提案してくださった発想に対して、飛び込んでいくことでそこを超えられるかもしれないと思って。

 僕は30代に入って出会った『昼顔』という作品で、世の中から“イメージ”を初めてもらって、そのときいただいたものに思いっきりつかまってみたんです。それでその反対の手を思いっきり伸ばしたところにあったのがバラエティーとか、これまでに入ったことのない領域だったのかもしれません。今もそれを繰り返している感じです。

 もちろん俳優業というものが軸にあるからこそできるのも事実。そこを忘れると勘違いしている人間になってしまうので、そこは結構考えながらやっています

斎藤工 撮影/伊藤和幸

 長い下積みを経てつかんだ人気俳優の座。だが、上りつめた今でも常に危機感があるそう。

日本にいるとどうしても比べられるじゃないですか、ランク付けをされて。そういう職業だから仕方ないんですけど、比べられ続けてきたので、いろんなものと比較対象にならない存在になりたいです。それは今もある危機感から来ていて。ずっと比べられるところにいては身も精神ももたない。もっと自分を解放させて、いろんなものを背負いすぎずに俳優業もモノ作りもしていきたい。20年近くやってきて、やっとちょっとずつバランスがとれ始めたのかなと。そう思っています」

『家族のレシピ』
 日本人の父とシンガポール人の母の間に生まれ、実家のラーメン店で働く真人(斎藤工)。父の急死をきっかけに、20数年前に亡くなった母親の日記を見つけた彼は、両親の足跡を追ってシンガポールに渡り、父と母が遺した“味”を巡る旅に出るが──。松田聖子との共演も話題!
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