個性的なクリエイターらが活躍

 ドラマの男性像も様変わり。イケてない主人公が増えていく。

「『電車男』('05年)は、ネット社会もうまく取り入れてヒットしましたね」(影山教授)

「『結婚できない男』('06年)は“結婚する・しない”が、男のほうにも問題があるという描き方がおもしろかった」(吉田さん、以下同)

 さらに、平成中期の特徴として、ひときわ個性を放つクリエイターの活躍があった。

「やはり宮藤官九郎さんですね。『池袋ウエストゲートパーク』('00年)や『木更津キャッツアイ』('02年)とか。さらに『ケイゾク』('99年)や『TRICK』('00年〜'14年)などの堤幸彦監督も。ちょっとコミカルで、トリッキーで。『古畑任三郎』('94年〜'06年)などの三谷幸喜さんの存在はあったものの、平成中期にそんな新風が吹いた。つらい時代だから、みんな笑いたがっていた気がします


《PRIFILE》
碓井広義教授 ◎上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。テレビマンユニオンに20年以上在籍。近著に倉本聰との共著『ドラマへの遺言』(新潮新書)

吉田潮さん ◎ライター、イラストレーター、テレビ批評家。主要番組はほぼ網羅している。『週刊女性PRIME』で『オンナアラート』を連載中

影山貴彦教授 ◎同志社女子大学メディア創造学科教授。毎日放送のプロデューサーを経て、現職。専門はメディアエンターテインメント論

田幸和歌子さん ◎テレビドラマに詳しいフリーライター。特にNHKの朝ドラへの造詣が深い。月刊誌、週刊誌、夕刊紙などで幅広く執筆している